多文化クロストーク
特別編 TIPSの「ニュースレター」について ~制作チームの二人が語る~

二人のプロフィール
カクさん(中国出身)
- 在住年数
- 2年
- 母語
- 中国語
- 好きな日本語
- 「やれることをやらないで後悔するのは嫌」
- 東京で好きな場所
- 吉祥寺
- 好きな食べ物
- スイカ、のり、おでん
- お国での仕事
- ありません(学生)
- 日本での仕事
- 学生、イラストレーター、中国語教室の講師、飲食店のスタッフ
ゆきさん(チリ出身)
- 在住年数
- 3年
- 母語
- スペイン語、日本語
- 好きな日本語
- 一期一会、わびさび
- 東京で好きな場所
- お台場
- 好きな食べ物
- ラーメン
- お国での仕事
- コンサルタント、翻訳、日本語教室の講師、日系人協会の理事
- 日本での仕事
- 旅行会社、NGO、災害支援、イベント関係、翻訳者
「Web版ニュースレター」について

わたしは「Tips for Tokyoらいふ」のイラストを担当しています。イラストを描くのが大好きなので、とても楽しく書いています。取り上げる言葉がいいなと思います。
印象に残っているイラストや記事はありますか。
「円高・円安」 、「お薬手帳」 、「敷金・礼金」 です。記事で紹介された言葉の中には、自分の知らない日本語もあったので、勉強になりました。とくに「敷金・礼金」で、中国では礼金はありません。なぜ礼金を払わなければいけないのか、理不尽だと思いました。文化の違いをちゃんと紹介してくれて、ほんとにいいと思います。 ゆきさんはニュースレターで何を担当していますか。
「多文化クロストーク」の翻訳を担当しています。テーマがバラエティでとても楽しいし、勉強になります。わたし自身、多文化の世界に生まれてきたので、子どものころは嫌なこともたくさんありました。学校が変わるたびにスペイン語から英語に、そして日本語と、人よりたくさん勉強しなければいけないこともあったんですが、今はそれが財産です。親にすごく感謝しています。 記事の翻訳の中で大変なこととしては、皆さんが言っていることを正しいニュアンスにできているか、ということです。
印象に残っている記事はありますか。
災害支援の仕事もしているので、災害についての回は印象的でした。あと、子育ての回も面白かったですね。日本人と結婚した中国人の友だちがいますが、継承語については迷っている人が多いのではないかと思います。
日本に来てから、情報はどのように集めていますか


日本のアニメやサブカルチャーに興味があって、日本に留学しました。コロナで1年延期されましたが、ずっと日本に来たかったです。
わたしの父は日本人で、母がチリ人です。父が外務省にいたので、いろいろな国で過ごしました。中学校の3年間は日本でしたが、父の退官後はチリにいたのでいつか大人になって日本に住みたいと思い、3年半前に日本に来ました。
情報の集め方としては、まずは同じ中国人の先輩に聞くことからしました。健康保険など日本に住むときに必要な手続きも先輩に教えてもらいました。
友達とか会社の同僚に聞いたりします。いつも見ているのが「日本にいるチリ人」というFacebookです。実はわたしの兄が20年くらい前に作ったもので、そこから情報を得ることも多いです。質問をしたら、誰かが答えてくれます。何かを検索するときは、日本語と英語です。スペイン語では情報が少ないので、あまり検索しないです。
わたしは何か調べるとき、中国語と日本語で検索します。中国人にとって漢字がたくさんあるのは、むしろ読みやすいです。日本語で検索すると日本語で表示されるので、日本人の方と話すときはその方がいいと思います。よくチェックしているのは中国人の留学生グループです。家具を譲ったり、バイトの情報もあります。
日本における「多文化共生」について

多文化共生という言葉は、日本から来た言葉だと思います。中国にいたときには若い学生なので、多文化共生を実感することがなかったです。
チリは10ぐらいの先住民族がいます。文化も言葉も、見た目も違いますから、もともと多文化共生から始まっています。20年ほど前からは移民の受け入れをしているので、チリには隣国からたくさんの人が来ています。そうした方たちの多文化共生が始まっていて、まだ学んでいる途中だと思います。
日本でも外国人がたくさんいることに慣れてきていると思いますが、共生ということをあまり意識していない人もいると思います。日本人も外国出身の方も一緒にイベントに参加することによって、お互いを知ることができると思います。
一緒に何かをするというのは、とても大事なことだと思います。日本はチリに比べて言葉の壁が高いです。文化は言葉を通して分かるようになるので、例えば日本のように遠回りして言う優しさとか気遣いが分かるのは、言葉を覚えながら習得していくのだと思います。
最近は、看板や掲示板にも「やさしい日本語」やルビがついていたり、いろいろな言語のバージョンとかもあって、すごくいいと思います。
わたしもカクさんに共感します。20年前と比べると、今は外国人への情報がたくさん出ているし、フレンドリーな環境になっていると思います。 お互いが活躍できる環境づくりのためには、お互いの文化を分かり合わないと難しいです。日本はとても頑張っていると思います。
制作メンバーの対談はいかがでしたか。TIPS(東京都多文化共生ポータルサイト)の「ニュースレター」は、これからも誰もが活躍できる多文化共生社会を目指して、情報を発信していきます。