多文化クロストーク
「東京の防災」について ー第1回 地震ー ~フランス、モンゴル、ベトナム出身者が語る~

3人のプロフィール
レミー ミヨさん(フランス出身)
- 在住年数
- 10年
- 母語
- フランス語
- 好きな日本語
- 季節限定
- 東京で好きな場所
- 上野
- 好きな食べ物
- チキン南蛮
- お国での仕事
- 英語教師
- 日本での仕事
- 旅行会社
相原ザヤさん(モンゴル出身)
- 在住年数
- 16年
- 母語
- モンゴル語
- 好きな日本語
- ありがとう
- 東京で好きな場所
- 東京スカイツリー
- 好きな食べ物
- 寿司
- お国での仕事
- 兄弟の会社
- 日本での仕事
- 講座運営など
チャン ティ ホアさん(ベトナム出身)
- 在住年数
- 4年
- 母語
- ベトナム語
- 好きな日本語
- 一期一会
- 東京で好きな場所
- 勝島運河(品川区)
- 好きな食べ物
- 寿司
- お国での仕事
- 貿易事務
- 日本での仕事
- 治験コーディネーター
第1回 地震について
東京の防災について、3回シリーズでお届けします。本所防災館で地震体験と都市型水害体験をしてから、話していただきました。
日本で初めて地震を経験したとき

フランスには地震がまったくないですが、みなさんの国はどうですか。
ベトナムも地震はありません。
モンゴルもないです。
2018年に日本に来たときに、震度3以上の地震を初めて体験しました。怖かったです。でも、だんだん慣れてきて3と4だったら、大丈夫だと思います。夜中にだったら、また続けて寝られるようになりました。
僕は2005年に初めて観光客として日本に来たときに、地震を体験しました。弟が日本に住んでいて、ある日僕が「頭がちょっとフラフラしている」と言ったら、弟が「今地震だったから」って言いました。地震は物が全部倒れるというイメージだったので、驚きました。ほんとに地震が起きているかどうかがわからないほどでした。それが初めてでした。
わたしは2011年の地震(東日本大震災)です。1番大きい地震でした。東京でもかなり揺れました。その日は娘が風邪をひいて幼稚園を休んでいたので、下の子と幼稚園へ荷物を取りに行っている間に地震が来ました。娘が一人でいたので急いで家に帰ったら、テレビが落ちていました。3人で外へ逃げました。エレベーターは止まっていました。
地震のことについて何も話していなかったので、娘に怖い思いをさせてしまったと思います。
地震が来たとき、最初に何をする?

(大きな)地震が来たら、頭の中にはいろいろあると思うんですけど、実際は何もしないと思います。ショックすぎて、揺れが収まるのを待つでしょう。体が動かないと思います。
地震が起きたとき、外に逃げようか、このまま部屋の中にいるか、いつも迷います。レミーさんと同じように、揺れが収まったときに判断します。すぐにテレビをつけて、津波や余震などはないか、チェックします。周りのみなさんがドアを開けて逃げる様子が聞こえたら、すぐに逃げようと思います。とりあえず、何もしないで、周りの様子を見る感じです。
地震が来たら娘たちはテーブルの下に入っています。地震で一番心配なことは、家族とつながれないことです。3月11日(東日本大震災)のときに、主人と連絡が取れたのも夜でしたから。電話ができなくなっていて、わたしたちはずっと公園にいて、主人は家で待っていたみたいです。
地震のアプリがありますが、みなさんは使っていますか。
(アプリは)使っていません。地震があると携帯が鳴ります。地震が起きながらリンリン鳴るので、怖いです。
わたしは仕事用と自分用で3つ電話を持っているので、地震が来るとあっちこっちで自分の電話が鳴ります。地震より電話の音の方が怖いです。
電話の中に(地震の)アプリ入れたいんですけど、全部漢字で分からないです。
わたしは地震のアプリを持っていたことがあります。Yahooのアプリで、無料だからです。
地震のとき、SNSには母語の情報がある

地震が起きると、テレビをつけます。地震のニュースはだいたい分かります。
(地震のニュースは)20%くらい分かります。漢字が分からないのと、自分がどこにいるか地図の見方が分からないです。
モンゴル人同士のFacebookがモンゴル語でつながっているので、それで(地震のニュースが)分かります。
フランスのコミュニティもあります。ニュースなどテレビで見たら、必要なことは全部翻訳してくれてFacebookにアップしてくれます。
日本でのベトナム人のコミュニティグループがあります。日本で新しいニュースとかを翻訳してくれることがあります。
情報がたくさんある中で、在住外国人にとって全部読むのは大変です。必要なところだけ知りたいのでとても便利です。
地震を理由に、国に帰りたいと思ったことはありますか

(地震が起こってもベトナムに帰りたいと思ったことは)ないです。飛行機のチケットとか移動することが大変なので、日本で生き抜こうと思います。
(フランスに帰りたいと)思ったことはないです。福島の件でちょっと思いましたが、あのときは熊本にいましたので。東京にいたら考えたかもしれません。
3月11日(東日本大震災)の地震のときに、モンゴルに帰りました。モンゴルのテレビでは家が流されているところばかり出ます。親戚や友達からも「大丈夫か、帰ってきて」と言われました。それで娘たちを連れて帰りました。そうしたら、お父さんに怒られました。お父さんたちは田舎に住んでいるので、テレビをあまり見ません。「なんで帰ってきたんだ。もう日本の人なんだから、死ぬときもご主人と一緒にいるんだよ」と言われました。次からはもう帰れませんね。
トランプのジョーカーを使ったようなものですね。
そうですね。
みなさんは、家族との連絡方法は決めていますか。うちは主人が「家に集まりましょう」と言っています。
親友とどこで待ち合わせするかは話しましたが、今度引っ越しをするので、新しい場所でまた話し合って決めます。
家族は海外にいますから、心配させないために「大丈夫ですよ」と伝えたいです。フランスのテレビに(地震の)ニュースが大きく出ますから。フランスから見ると、日本は地図では小さく見えます。東日本大震災のときは熊本にいたので「遠いから大丈夫」と言っても、家族は心配します。インターネットが通じなければ、フランス大使館とコミュニケーションをとって、私は大丈夫と伝えてもらうかもしれません。
日本の友達から、地震が起きてすぐのときは電話がつながると教えてもらったんです。ベトナムの家族に連絡をして安心してと伝えます。その後はつながらなくて心配させることもあると思いますが、電話が通じるようになったらまた連絡します。
── 次号へ続く