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「東京の防災」について ー第3回 防災の準備ー ~フランス、モンゴル、ベトナム出身者が語る~

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左からフランス出身のレミー ミヨさん、ベトナム出身のチャン ティ ホアさん、モンゴル出身の相原ザヤさん

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第1回はコチラから

第3回 防災の準備について

東京の防災について、3回シリーズの最終回をお届けします。本所防災館でハザードマップや資料を見ながら話していただきました。

防災訓練に行ったことがありますか

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本所防災館には、防災に関する資料がそろっています。自由に読むことができます。
チャン ティ ホアさん(以下:ホア)

防災訓練に参加したことがありません。(会社のある)ビル全体の防災訓練で、平日の業務時間内でしたから。

レミー ミヨさん(以下:レミー)

(熊本の学校で教えていたとき)学校の防災訓練に参加しました。

相原ザヤさん(以下:ザヤ)

本所防災館にも来たことがあります。東京都の防災訓練にも行きました。子育てをしていると防災について勉強する機会がありませんから、とてもよかったです。
子どもたちは幼稚園や小学校で(防災について)勉強しているので、地震があるとテーブルの下に入ったりします。

(「外国人のための防災訓練があることを、聞いたことがありますか。」という質問に)

レミーさん

聞いたことがあります。2021年にPBV(一般社団法人ピースボート災害支援センター)という団体で、外国人住民のための防災講座があり参加しました。

ホアさん

わたしも聞いたことがあります。タイミングがあわなかったので、参加していませんが。

レミーさん

防災訓練は仕事場や会社で行えば参加しなければいけないので、義務にした方がいいと思います。週末にしたらあまり興味がわかないと思います。今日のような体験はとても楽しいです。テーマパークみたいにした方がいいと思います。例えば、月曜日の朝にして労働時間の中で行うとか。

ザヤさん

すごくいい考えですね。日本に住むなら、1回ぐらいはちゃんと防災訓練に参加した方がいいと思います。

防災の準備はどうしていますか

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壁には災害時に備えた、さまざまなポスターが貼られています。
ホアさん

初めて日本に来たときは日本語が分からなかったので、防災訓練の言葉はあまり理解できていなかったです。今日参加してみて、やはり日本語で難しい漢字が出てきますし、話も長いです。ビデオは字幕がありましたが、難しい言葉が多かったです。日本語のあまりできないベトナム人だったら、わかりにくいと思います。

レミーさん

留学生は学校のオリエンテーションに、仕事で来た人も会社のオリエンテーションに防災訓練を入れてしまうのはいいと思います。また、空港とかで防災訓練をするのも、一つの方法じゃないかと思います。観光客には不必要かもしれませんけど、長く日本に滞在する人だったら、防災訓練は受けた方がいいです。

ザヤさん

お二人は家の中で地震対策をしていますか。例えば、(窓ガラスが割れて飛び散らないようにするために)窓ガラスにフィルムを貼るとかです。わたしは防災の勉強をして、いろいろ準備しました。

ホアさん

(窓ガラスに)フィルムは貼っていません。

レミーさん

(窓ガラスに)フィルムは貼っていません。
僕はシェアハウスに住んでいるので、長く滞在するところじゃないのに、何でそんなにお金をかけなきゃいけないと思いました。何かを買って準備する、ということはしていないです。物で対策するんじゃなくて、家具の上に物を置かないようにするとかはしています。

ホアさん

わたしもレミーさんと同じで、買う物で対策をするのではなく、高い所に物を置かない。鏡も飾らない。寝るときはガラス窓からは離れるようにはしています。
そういえば、友だちの防災グッズを見たことがあります。ネットで1万円くらいで非常持ち出し袋を買ったときに見ました。

ザヤさん

わたしの家は、家族全員ひとつずつ非常持ち出し袋を用意しました。上の娘が学校で勉強をしたので細かくチェックしてくれます。まだ1歳半の子どもがいるんですが、その子どもの分も上の娘が用意してくれました。パンとかお菓子、飴とかが入っています。怪我したときの絆創膏など、いろいろ入っています。これはお母さんの分、といわれると楽しくなってきます。勉強してよかったなと思います。

ローリングストック知っていますか

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東京都内のハザードマップや、防災ブック『東京防災』も見ることができます。『東京防災』は、災害に対する備えが万全になるよう、東京都が一家に一冊配布しました(2015年)。
 

(「災害発生から、災害支援物資が到着するまで3日以上かかることがあります。スーパーやコンビニでも食品が手に入らないこともあります。3日~1週間分の食料の備蓄をしてください。最近はローリングストックという方法があります。」という説明を聞いて、座談会は続きます)

レミーさん

水は1人、1日3リットルですね。その3日間~1週間分ですから、多いですね。

ザヤさん

5人家族なので、水だけでもすごい量です。そんなに用意していません。
ローリングストックは、教えてもらいました。いつも買っているものを少し多めに買って、家に置いておくんですよね。防災用の食べ物は値段が高いので、ローリングストックはいいですね。

ホアさん

ローリングストックは初めて聞きましたが、それならできそうです。

レミーさん

僕は非常持ち出し袋は持っていませんが、小さい箱に大切なものを入れています。例えばパスポートとかフラッシュドライブのようなものです。自分が何者かわかるようにデジタルにも入れてあります。以前はその箱に食べ物も入れていたんですけど、甘いものでしたから全部食べちゃいました。今はパスポートと印鑑、名刺を入れています。

ザヤさん

地震や大雨のとき、どんなことを注意していますか。わたしは外に出ないようにして、家族みんなで家にいるようにします。

レミーさん

家から出るか出られないか、また自分の部屋のドアとかを開けられるか開けられないかを確認します。水はあるか、大切な箱はあるか、そして携帯の充電が入っているかどうか。注意するのはそれぐらいです。

ホアさん

災害が起きたときに注意することは、やっぱり家族と連絡するかしないかということぐらいです。

非常持ち出し袋を用意しよう

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館内には非常用のグッズを展示しています。どんなときに使うのかを知ることで、非常時の想定をすることができます。
 

(「2011年の東日本大震災ときに、電車やバスなどが止まったため、家に帰ることのできない人がたくさんいました。歩いて帰る人もたくさんいました。」という説明を聞いて、座談会は続きます)

レミーさん

僕はいつも自転車で仕事場へ行くので、道は知っています。

ホアさん

自転車でよかったですね。家と会社が離れていると、歩いて帰るのは大変です。

レミーさん

もし自転車で走れなかったら、時間はかかりますけど歩いて帰ります。
僕は非常持ち出し袋をいつも作ろう、作ろうと思っています。とくに大きな地震の次の日くらいは、今週作ろうと思うんです。そして、日常に戻ると……結局まだ作っていません。

ホアさん

わたしは新しい所へ引っ越しするので、非常持ち出し袋をつくりたいと思います。

ザヤさん

30年以内に大きい地震が来るのが、70%だと言っていました。そろそろ準備をした方がいいですね。

ホアさん

そうですね。レミーさん、今日準備しましょう! 私も準備します。

レミーさん

非常持ち出し袋は、ホアさんの友だちも買ったようにネットでも売っています。そんなに高いものでなくてもいいので、防災訓練に参加して無料でもらえたら、もっと参加しやすいかもしれません。買うと高いものだから不可能かもしれませんが、楽しくする考え方のひとつです。みんなプレゼント好きです。ドーナツのプレゼントでも電車に乗ってくる人もいますから、防災訓練のプレゼントはドーナツでもいいかもです。

── 終わり

 

防災について3回のシリーズでお届けしました。3人の共通した意見は、「防災について学んでください」、「防災訓練はぜひ体験してください」というものでした。東京で暮らす外国人の皆さんに、日本の災害や防災についてしっかり知って、準備してもらうことは非常に大切です。
来月からは「病気と病院」についてです。