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日本での仕事と転職についてー第3回 日本のビジネス文化ー
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第3回 日本のビジネス文化
「日本での仕事と転職について」の座談会3回シリーズ、最終回です。
今回は、多様な背景を活かして働く3人に、日本のビジネス文化について話を聞きます。
日本で働いていて、文化の違いに戸惑うことはありますか。
前回ヌンさんが言っていましたが、日本人が相手に配慮してはっきり言わない話し方には、戸惑うことがありますね。ミスを直接指摘するのではなく、自分で気づかせるような。でもその配慮に気づかないで、自分がミスをしているのを知らないまま仕事が進んでしまうのは怖いなと思います。外資系の方がストレートにやり取りできるように感じます。
日本はハイコンテキストで、暗黙の了解や、相手に察してもらう文化がありますよね。
私は驚いたエピソードが2つあります。1つ目は最初に勤めた会社の打ち合わせで、男性社員の質問は答えてくれたのに、女性だからか自分の発言がスルーされたことがありました。それを50代の女性上司に相談したら、「そういう文化があることを受け止めるべき。若い女性らしさを活かして頑張って」と言われました。文化の違いというより、「女性らしさ」について世代間ギャップを感じた出来事です。
もう一つは、2社目で販売員として副店長を務めていたときです。自分の裁量で意思決定をしたら、「なぜ相談する前に勝手に決めたの」と怒られました。日本の仕事は個人の裁量が曖昧なので、判断が難しいことがあります。
それ、すごくわかります。僕も「自分で考えて」と言われて、自分で考えて行動したら失敗して怒られたことがありました。それならはっきり指摘してよ、と思いました。
タイと日本の会社の一番大きな違いは雰囲気ですね。タイは、みんなで雑談しながら、明るく仕事を進める雰囲気があります。でも日本の会社はキーボードの音しか聞こえません。時々、ハエの飛ぶ音が聞こえるくらい静か!
あははは!(笑)
でも、そうですよね。日本はみんな集中して仕事をやろう、という空気がありますね。ただ、日本に限った話でなく、仕事の中で関係づくりってすごく大事だと思います。雑談というと聞こえが悪いかもしれませんが、仕事から離れた話をすることも、関係性の維持に必要だと感じます。
自分が馴染んだのは、みんなを理解して、空気を読めるようになってからですね。お互い、文化の壁を理解し合えた感じがありました。
職場の同僚とは、どんな関係ですか。
いい関係だと思います。自分以外はすべて日本人で年上の人が多いので、自分が資料のデジタル化などを担当しています。パソコンなどを教える立場になって、頼ってもらえているのかなと感じます。
日本は先輩、後輩の関係がしっかりしていますね。
自分は「後輩」という存在ができたことがなくて、2社目の販売員のときは、年下の同僚への接し方に迷いました。さっきのヨンジュさんの話にも通ずると思うんですが、同僚に対してどこまで干渉していいのか、最初は戸惑いました。たとえばある日、売り場に出るには不適切な服装で出勤した子がいました。以前の私だったら「それじゃお客さんの前に出られないよ」とストレートに伝えていたと思いますが、相手のことを思うとどんな風に伝えたらいいかわからなくて。その子に予備のジャケットを羽織らせ、ぐっと堪えました。そうしたら、その子は私の行動の理由を察してくれたんです。言葉にしなくても、本当に伝わるんだ!と思いました。
私はこれまでリモートワークが多く、信頼関係の構築に難しさを感じることもありました。でも仕事の専門性を高める努力をすることで、一緒に仕事を進める中で、関係性が出来上がっていくことを実感しています。一つ一つ経験を重ねることで、信頼が蓄積されるんだなと思います。
あとは、日本は“みんなで”という雰囲気が強いですよね。みんなで一つのプロジェクトを作るのは、一人では思いつかないアイデアも生まれて、楽しかったです。
日本でキャリアを積む上で、大事にしたいことはなんですか。
ヨンジュさんも言っていましたが、信頼の積み重ねですね。学び続ける姿勢を持てば、「わからないことでも勉強する人」と思ってもらえて、次の仕事がもらえます。
自分は未経験の状態から今の仕事に就いて、最初はメールのやりとりなどで間違いもしました。でも知識を吸収する意欲が周りに伝わり、信頼されるようになってきました。最近では、新しく輸出入の仕事を任せてもらえるようになってうれしかったです。
生きていく上で、お金を稼ぐことは必要です。どうせ稼ぐなら、「楽しく、自分らしくしたい」というのが自分の思いです。
今まで自分のルーツを気にしすぎて、外国人と見られないように、自分の可能性を狭めすぎていたように思います。でも今は、私と同じように多様なルーツを持つ人たちに、何か伝えたり、残すことができればと思っています。今後日本にはさまざまな背景を持つ人が増えていくと思います。そのとき、自分に何ができるか考えていきたいです。
お金をいただく分、ちゃんと自分の仕事をしたいといつも思っています。でも、今の仕事をもっとうまくこなすためにも、仕事の中でもっとたくさん学びたいです。そのためには、固くならずに向上心を持ちながら仕事と向き合うことが大事だと感じています。経験を積んだことで、「仕事をうまくする」の意味自体も広がっています。自分だけではなく、一緒に働く人も仕事をしやすいよう、気を配っていきたいです。
今後の夢や目標を教えてください。
私は自然が好きなんです。将来的に都市部から離れて、自然や緑の中で生活できればいいなと思います。日本の昔の建築も好きです。自然と家との境目が曖昧だったりして、パーフェクトな状態でないことが美しさの一部になっている、日本ならではの感性がいいなと思います。50~60歳になったら、日本の古民家で、色々な国のマグカップでお茶を出すようなカフェが開けたらいいなと思っています。
最近考えているのは、生活と仕事のバランスについてです。仕事で得られる達成感と、プライベートで得る安定感や幸せ、その二つをどう両立していけばいいんだろうと考えます。たとえばこの間、とても楽しい連休を過ごしました。そしていい休みを過ごせたからこそ、仕事も頑張ろうという気持ちに切り替わりました。単純に時間で分けるだけでなく、仕事も人生も両方大事にしたいですね。
仕事でもっと信頼されるようになりたいです。「彼に任せてよかった」と言われるくらいになるのが目標です。一日でも早くそうなれるように、学び続けたいです。
また、自分が一番大切にしているのは家族です。これからは一つのところに長く勤めて、父親として娘の成長を見届けたいです。そして子供が自立したら、夫婦でタイに帰って穏やかなところで過ごすというのも夢です。猫や犬に囲まれて、田舎で穏やかに暮らしたいですね。
「日本での仕事と転職について」のシリーズは、今回が最終回です。
それぞれ経験を積み重ねながら、自分自身の考えをもって仕事に取り組む3人のお話を聞くことができました。日本ならではのビジネス文化について、3人のお話から気づくこともあったのではないでしょうか。
来月からはまた新しいシリーズが始まります。