多文化クロストーク
コンビニで働く人たちー第1回 コンビニで働き始めたきっかけー
3人のプロフィール
チン(ベトナム出身)
- 在住年数
- 7年
- 母語
- ベトナム語
- 好きな日本語
- 木漏れ日
- 東京で好きな場所
- 大森駅
- 好きな食べ物
- 寿司、つけ麺
- 趣味
- サッカー、ドライブ、音楽
- 子どものころなりたかった職業
- 大工
ムスカン(日本出身、ネパールルーツ)
- 在住年数
- 20年
- 母語
- ネパール語
- 好きな日本語
- 凹凸、しょうがない、響き
- 東京で好きな場所
- 新大久保、新宿
- 好きな食べ物
- おでん、日本の定食、韓国のトッポッキ
- 趣味
- 読書、ドラマ鑑賞
- 子どものころなりたかった職業
- お医者さん
ジョ(中国出身)
- 在住年数
- 12年
- 母語
- 中国語
- 好きな日本語
- 「あきらめたらそこで試合終了だよ」
- 東京で好きな場所
- 新宿御苑
- 好きな食べ物
- 焼肉、天ぷら
- 趣味
- ゲーム、旅行、ドライブ
- 子どものころなりたかった職業
- アスリート
第1回 コンビニで働き始めたきっかけ
「コンビニで働く人たち」の座談会を3回シリーズでお届けします。
東京のコンビニエンスストアでは、外国人従業員の比率が近年増加しています。彼らはどんな経緯でコンビニで働き始め、どのようなことにやりがいや難しさを感じているのでしょうか。これまでコンビニで働いたことのある3人に話を聞きました。
どんな理由で日本に来ましたか?
私はベトナムの中部フエの出身です。ベトナムで物流関係の仕事をしていましたが、何か新しい挑戦をしてみたいと考えるようになりました。検討した結果、友達が住んでいて、印象のよかった日本に留学しようと決めました。来日後、1年半日本語学校で勉強し、2年間IT系の専門学校に通い、その後IT系の仕事に就き、現在に至ります。
私は日本に住むネパール人の両親のもとに生まれました。「ネパール語を学んでほしい」という両親の考えで、小学校のとき3年間だけネパールで生活しましたが、それ以外はずっと日本に住んでいます。今年から大学院生です。
中国で高校を卒業した後、日本への留学を決めました。私も日本語学校に通ったのは1年半ですね。その後大学の経営学部に通いました。そしてそのまま東京で就職して今に至ります。
いつからコンビニで働きましたか?
大学進学をきっかけに家のそばにあるコンビニで働き始めました。都内ですが駐車場があり、あまり忙しくない店舗でした。同僚も皆親切で居心地がよく、在学中の4年間ずっとそこで働きました。
私は専門学校に通っている間の2年間、都心のターミナル駅直結のコンビニで働きました。ムスカンさんとは逆で、私の店はとても忙しかったです。朝は通勤客で混雑しました。
私は生活費を稼ぐためにアルバイトがしたくて、日本に着いてから1週間後にハローワークに行きました。そのときは履歴書の書き方も全然わかりませんでしたが、職員の方が親切に教えてくれて、その後すぐにコンビニに面接へ行き、採用されて働き始めました。
コンビニのアルバイトは学生の間ずっと続けていました。そして大学在学時にその大手コンビニチェーンの新卒採用に応募して採用され、今は社員として働いています。
どうしてコンビニの仕事に興味を持ちましたか?
当時の生活のリズムに合っていたことが大きいです。学校に行く途中の駅にコンビニがあり、朝早く起きて毎日2時間だけ働いていました。早朝手当がついて、2時間くらいでかなりの収入になります。ビザで就労時間に制限があるので、時給の高さは重要でした。
大学に入って、日本語を勉強しないといけないと思ったことがきっかけでした。何か日本語を使う仕事を探していて、最終的にコンビニがいいかなと思いました。商品の陳列をしたり、レジ打ちをするのが気持ちよさそうだなと思ったんです。
コンビニは話す力が鍛えられる職場ですよね。
私はとにかく仕事を見つける必要があったので、片っ端から電話して面接のお願いをし続け、受け入れてくれたのがコンビニでした。最初は夕方のシフトだと思いましたが、いつの間にか店の都合で深夜も働くことになりました。予想外のことでしたが、チンさんと同じで、深夜手当がつくのは嬉しいなと思いましたね。モチベーションになります。
手当、大きいですよね。自分も途中で気がついてからは、早朝に入るようになりました。
コンビニで働く外国人にはどんな人がいましたか?
自分は色々な店で勤務していたのですが、店によって状況はまちまちでした。新宿の繁華街の店舗は、特に外国人が多かったですね。専門学校の卒業後にホテルの仕事をしたくて、その練習のためにアルバイトをしているとか、目標を持って働く人が多かったです。近年はネパールの人が圧倒的に多いなというイメージがありました。一人入ると、その人の紹介でどんどん同じ国の人が増えていくんです。最近はベトナムの人も増えていると聞きます。
私は紹介ではなく、自分で見つけたバイト先だったのですが、仕事を始めたとき、すでにベトナム人が複数同じシフトで働いていました。店側としても、困ったらお互い母語で質問ができるように、あえて同国出身者を同じ時間帯に固めているようでした。逆に昼間のシフトは日本人の学生が多かったようですね。
私の店舗は住宅街に近かったので、外国人の従業員はいませんでした。学生もあまりいなくて、年上の先輩から色々教えてもらいました。
アルバイトの面接はどうでしたか?
来日1週間後に、猪突猛進の勢いで面接を受けました。中国にいるころは単発バイトを数回したことがある程度だったので、人生初めての面接でしたね。日本のドラマで面接をしているシーンを見たことがあるのですが、ほとんど同じ印象でした。学校の場所や、働ける時間など、聞かれたのは一般的なことでしたね。なんで受かったんだろうと、今でも思います(笑)。
日本語学校で履歴書の書き方を教わって、教わった通りに書類を書いて持って行きました。私も面接で聞かれたことは、今までのアルバイト経験や勤務可能時間など、一般的な話でした。ただ、会話の中で日本語力はチェックされているのかなと感じました。「今までどこに住んでいましたか」「学校はどこですか」とか、そういう質問で、受け答えを見られている感じはありましたね。
今チンさんの話を聞いて初めて気がついたんですが、私も面接で日本語をチェックされていたのかもしれないです。色々な質問をされたのは、そういうことだったんですね。
そのときは面接にあまり慣れていなかったので、「なぜこの店を選びましたか」と聞かれて、「家から近いからです」と正直に答えてしまい、失敗したなと思いました。
たしかに自分が店長として働いていたとき、バイトに応募してきた人の話し方はよく見ていました。
ただ、接客業なので大切なのは笑顔や話し方で、語学力は二の次です。学びたいという意識さえあれば、こちらから教えることができるし、本人も頑張れると思います。
コンビニの仕事に必要な日本語力はどれくらいですか?
日本語能力試験(JLPT)でいう、N4またはN3以上ですね。
そうですね。私も同意見です。
試験の成績より、会話能力が大事ですよね。
そうですよね。大学にも、試験の成績はいいけど会話ができない人がいました。お客さんから質問されて「わかりません」だけだと、仕事をするのは難しいと思います。
あと私の働いていた店では、非日本語ネイティブ向けに、3~4時間くらいの研修用のビデオがありましたね。多言語のマニュアルも。
そうですか。私の働いていた店ではなかったです。忙しい店舗だから、直接教えたほうが早いと考えていたのかもしれません。
私はトレーニング用のレジがある研修センターに行くように言われて、そこで仕事を教わりました。
そういう形で教える店舗もありますね。あと外国人向けに、日本のおもてなし文化を学ぶような研修を受けてもらうケースもあります。
第1回は、コンビニで働き始めたきっかけについて、話を伺いました。日本語を勉強したかった、生活リズムに合っていた、などそれぞれの理由を聞くことができました。第2回では、「コンビニの仕事内容」についてお話しいただきます。
── 次号へ続く