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介護職の外国人ー第2回 介護職の生活ー

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第2回 介護職の生活
介護職の人たちはシフト勤務のため、仕事を開始する時間も日によってバラバラです。体調の管理をはじめ、どんな毎日を送っているでしょうか。休みの日はどんな風に過ごしているのでしょうか。
また、人手不足といわれる介護職を続ける中で大変だと思うことについても話していただきました。
仕事のスケジュールはいつ決まりますか

東京には来たばかりで、まだあまり観光できていないそうです。
仕事はシフト制です。早番、遅番、夜勤の3つに分かれています。早番は7時から16時、遅番は10時から19時、夜勤は17時から翌日の10時です。
勤務のスケジュールは毎月25日ごろに翌月のシフトがでます。希望の休みを前もって言えば、いつでも取ることができます。毎日出勤する人数は決まっているので、シフト作成の担当者が調整してくれます。トータルすると週休二日になります。
アプリさんとだいたい同じですが、言い方が違います。早番、日勤、遅3(遅番シフトの一種)、夜勤があります。遅3は11時から20時です(施設によっても違う)。わたしのところもシフト勤務ですが、10日までに翌月の希望の休みを伝えます。
わたしもお二人と同じでシフト勤務で、勤務の仕方もだいたい同じです。スケジュールの希望はひと月前に出します。1か月だいたい13日から14日間くらい働きます。夜勤の翌日は働きません。
わたしも同じです。夜勤は働く時間が長いので、2日分としてカウントするんです。夜勤明けの翌日は公休になります。夜勤が5日間になると、夜勤明けの公休も5日になります。仕事に慣れてくると、夜勤がないと休みが少なく感じます。
介護の仕事は休みの日がたくさんあります。ただ働く時間がばらばらなので、スケジュールが混乱したり、生活リズムも難しいです。
夜勤は月最低4回です。夜勤の休憩は1時間です。
わたしのところも夜勤は最低4回入ります。夜勤の決まった休憩は2時間で、交代で行きます。各階担当は一人です。
わたしたちのところも、夜勤はワンフロア一人です。
1日の中で忙しいのは、ご飯を出すときです。食事をするときに介助が必要な人がいますから。
1年の中だと、クリスマスやお正月、夏祭りのときはイベントの準備もあり忙しいです。夏祭りは屋台を出したりするので。
わたしのところは特別養護老人ホームなので、イベントは少ないです。今の施設はできたばかりなので、これからできるかもしれませんが。
イベントはいろいろしています。バザーをしたり、洋服屋さんなどが来てショッピングを楽しむこともしています。
最近は介護が進化しています。元気であれば、わたしも入りたいと思うほど、楽しいことがたくさんあるんです。
休みの日は何をしていますか

翌日のスケジュールに合わせて、寝る時間も変わります。翌日が夜勤だったらテレビを見ようとか思いますが、早番だったら何もしないでご飯を食べて寝ようとか、自然にそうなります。
日によってシフトが違うので、時間を間違えて早く起きてしまったりすることもあります。今までにシフトを何回か間違えました。これはわたしの問題ですね。
夜勤明けで家に帰って寝ると、起きたとき今日は休み? 仕事? わからなくなります。
Q. 夜勤明けの次の日の公休は、皆さん何をしますか。
家に帰って3時間くらい寝ます。そして、神奈川県や茨城県にいる家族に会いに行きます。
休みの日の過ごし方は天気によります。夜勤明けは夜に寝られるように、できるだけ寝ないで頑張って起きています。次の日の朝のリズムを崩さないようにするためです。天気の悪い日は、家事をしたりしています。休みを取って出かけるときは白馬までスキーに行ったりします。インドネシアには雪がないから。
夜勤明けの日は、家に帰って家事をしたら布団に入ります。寝ようと思っても、ずっとスマホをいじっています。夕食を食べたら寝るんですが、翌日の10時ごろまで寝られます。東京に引っ越してそんなに時間がたっていなので、電車に乗るのも迷いますから家にいることが多いです。まだあまり遊びに行けていません。
一緒に働いている人と休みを合わせてよく旅行に行きます。夜勤が一緒になったときは温泉に行きます。
職場で定期的な飲み会があります。また、会社の施設が熱海にあるので、職場で半分に分かれてみんなで行ったりします。
最近は職場のベトナム出身の人と水族館に行きました。
前働いていた山梨の施設でも、職場の日本人の方にいろいろなところに連れて行ってもらいました。
みなさんの職場は人手が足りていますか

人手不足だと思います。
でも、わたしのところはそんなに深刻ではありません。今のところ残業はほとんどありません。それでも、シフトを回していくのは大変です。職員が体調不良で欠勤になったりしても、急に人を増やすことはできないから、どうしても予定の時間が少しずつずれて遅れていきます。
本当なら二人ですることを一人ですることになるので、思うように介護できなかったことがあります。
人手不足というよりも、介護職を継続する人が少ないと思います。辞めていくのは日本の方が多いです。教育担当になって、新卒の職員の相談にのることがあります。「何で知らないおばあさんをお風呂に入れなといけないのか」と、仕事の意味をあまり理解できていない職員もいます。そこでご飯を食べながらいろいろ話します。今では立派な介護士になっています。
介護職をしたいという人が、あまりいないんですよね。せっかく仕事を覚えたのに、辞めてしまう人もいます。
日本人の介護職に対するメージは、仕事がきつい、汚い、給料が安い、の "3K"と聞いたことがあります。実際に働いている僕にしたら、そうでもないって思います。
山梨県で働いていたときは、日本人の職員さんで辞める人は少なかったです。10年とか15年働いていました。そこにミャンマー人3人が加わり、一緒に働きましたが、日本人の職員は増えていませんでした。
仕事が大変だと思うときはありますか

自分の感情に負けるときがいちばん大変だなと思います。とくに認知症の利用者さんのときです。何度も何度も同じことを聞かれますが、怒ってもわからないし、利用者さんも何で怒られているかわかりません。怒ったり、イライラしたら負けだっていう気持ちで、自分自身と戦うんです。
わたしも、認知症の利用者さんがいちばん大変かなと思います。
わたしは認知症の利用者さんの担当です。何度も同じことを聞かれて大変ですが、忘れてしまうのは辛いだろうと思います。
認知症の利用者さんはよく「寂しい」と言っています。落ち着いているときは、わたしの架空の相談に乗ってもらうなどして、“誰かの役に立つ”という機会をつくっています。
わたしも利用者さんから心配事を聞くことが多いです。お金のことや食事のこと、話を聞いて安心してもらいます。
利用者さんに外国出身者がいて、スペイン語を話しているんです。わたしがスペイン語で話したら安心したのか、すごく喜んでくれました。
しっかりしている利用者さんとは、いろいろな話をします。昔の恋人の話とか、人生で大変なときをどう乗り越えたかなど話してくれます。
そうですね。若いときはこうやって頑張ったんだよ、と人生の最も輝いていたころの話を聞かせてくれます。
不規則なスケジュールの中でも、自分に合った過ごし方を見つけて実践されているみなさん。忙しい中でもしっかり利用者さんとコミュニケーションを取りながら、利用者さんそれぞれに寄り添った介護をされていることが3人のお話からも伝わってきました。
3回目となる次回は、これからの介護職について、話していただきます。
── 次号へ続く