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介護職の外国人ー第3回 これからの介護職についてー

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左からペルー出身のアナさん、インドネシア出身のアプリさん、ミャンマー出身のザーさん。

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第1回はコチラから

 

第3回 これからの介護職について

介護職の現場で働く3人に、これからの介護職や、介護職の仕事のやりがい、これからも介護職を続けたいか、といった内容について話していただきました。

 

これからの介護職は、どうしたらもっと働きやすくなると思いますか

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アプリさんの好きな日本語は、「情熱、友情」です。
アナさん

働く時間が早番・日勤・遅番がミックスだと、体が慣れるまでは大変です。介護の仕事をしたいと思っても、入りにくいと思います。1週間ごとの勤務になればいいのにと思います。

アプリさん

チームワークの仕事なので、しっかり会話をすることです。介護はコミュニケーションを図ることです。わたしたちはチームで仕事をするので、思ったことをちゃんと言わないとチームワークは成り立たないんです。

ザーさん

一人ひとりが自分の仕事に責任を持ったら、働きやすくなると思います。例えばおむつ交換は二人ですることになっているのに、一人が忘れて他の仕事をしていたら一人ですることになって大変です。

アプリさん

だからチームワークが大切なんです。役割を責任もってきちんと終わらせることが大事で、それをするためにはコミュニケーションが必要なんです。あとはホウレンソウ(報告・連絡・相談)がとても大事です。人が相手の仕事なので、その日の状況に合わせて臨機応変な対応が求められます。ちゃんと報告と申し送りをしないとミスにつながります。

ザーさん

仕事は同じですが、利用者さんたちの状況は変わります。具合が悪いとき (なん) のケアをするのかも変わりますから、申し送りをちゃんと受け止めることは大事です。

Q. 皆さんの国から介護職に就きたいという人たちがこれからも日本に来ると思いますか

アプリさん

介護職に就いた友だちは、ドイツとオーストラリアにいます。円安ということがあるかもしれません。しかし、僕もそうだったように、住んでみたら安心感があって、日本に長くいるということはあると思います。

ザーさん

ミャンマーは内戦があるので、最近日本に来る人が多いです。日本以外だったら、シンガポールやタイも多いです。
日本は税金も高く、給料からすごく引かれています。年をとってからはいいと思います。介護保険もあるし、不安になりませんから。

アナさん

ペルーからは介護職のために来るという人はあまりいませんが、去年、ペルーで介護職をしていた友人が来ました。ペルーの赤十字で資格を取っていたんです。

家族に介護が必要になったらどうしますか

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アナさんの好きな日本語は、「お疲れさま」です。
ザーさん

わたしは弟と二人姉弟 (きょうだい) ですが、結婚しても自分の親と暮らしたいです。ミャンマーでは結婚したら旦那さん側の家族と一緒に暮らすことが多いです。わたしのわがままかもしれませんが、今は離れて暮らしているので、ミャンマーに帰ったら自分の親と一緒に暮らしたいと思っています。親が介護になったら、自宅で看ます。

アプリさん

インドネシアは結婚して親と離れて暮らしていることが多いです。介護が必要になると家族が看ます。わたしにはおばあさんも、 (ひい) おばあさんもいるんですけど、家族が交代で看ています。

アナさん

ペルーもブラジルも結婚したら親とは別に住みます。親に介護が必要になったときは、一緒に住みます。親が大変になったら、自分の家に連れてきて看るということです。

Q. あなたに介護が必要になったら、施設や病院に入りますか、それとも自宅がいいですか。

ザーさん

自宅ですね。

アプリさん

いま働いている施設だったら、入ってもいいと思います。いい施設なので、ちゃんとお金を稼がないとだめですけど。

アナさん

そうですね、施設でいいです。

施設の利用者さんが快適な日々を送るために意識していることはありますか

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ザーさんの好きな日本語は、「ありがとうございます」です。
ザーさん

利用者さん一人ひとりのありのままを受け止めて、問題や状況に応じて介助をするといいと思います。利用者さんの好きなことを覚えるとか、考えながらすると快適な日々が送れると思います。

アプリさん

お客様について知ることは大切だと思います。例えば、好きな食べ物や好きな音楽でリラックスする雰囲気を作ったり、お菓子作りが好きな (かた) はおやつのイベントに参加してもらったりします。利用者さんが施設に来るまでにやってきたことやペースを尊重して、サポートできればいいと思います。

アナさん

わたしは今の施設で長く働いているので、利用者さんの好きなことや、この時間に何をすればいいかをわかっています。利用者さんを知ることは、とても大切なことです。

Q. 介護職のやりがいを教えてください。

アプリさん

利用者さんの幸せを目指しているので、笑顔が見られるし、ありがとうって言われるときはやりがいを感じます。人に喜んでもらえる仕事って、すごいなって思います。

アナさん

介護の仕事がすごく好きです。以前は自信がなくてできないと思っていたんですが、仕事を始めたらすごく楽しいし、仕事も覚えました。ありがとうもたくさん言われます。利用者さんに楽しく過ごしてもらえるのがやりがいです。

ザーさん

「お姉さん、ありがとうね」「お姉さん、やさしいね」とかは、いつも言われます。「ザーさん、○○をお願いします」と言われると、わたしを信じてくれているんだなと思います。信頼関係があれば、心配事を相談されたり、今までの人生のことや誰にも言えないことまで話してくれます。

アプリさん

自分の人生の勉強になります。みなさん、人生の大先輩ですから。

これからも介護の仕事を続けますか

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3人は、これからも日本で介護職を続けていきたいと話します。
アナさん

わたしはこれからも日本で介護職を続けていきます。

アプリさん

わたしもします。介護職は自分に一番合う仕事だと思っています。人の笑顔が見られる仕事は、素晴らしいと思っています。

ザーさん

利用者さんと話すことができるし、昔の話を聞くことができます。休みも多いと感じています。日本に来たときから介護の仕事を始めたので、他の仕事は合わないかと思っています。

アナさん

わたしはいろいろな仕事をしてきましたが、介護職に就いてからは他の仕事に戻ろうとは思いません。介護の仕事は利用者さんと話ができるし、勉強になることがたくさんあります。お茶を () れたり、洋服を直したりいろいろなことをします。だから楽しいし、やりがいがあります。

アプリさん

サラリーマンは土日が休みの人が多いですから、どこへ行っても混んでいますし、値段も高いです。休みの日を自分で決められるのはとてもいいです。

Q. これからどんな (ふう) に働いていきたいですか

アプリさん

会社からは3年前から介護チーフになりましょうと言われていますが、チーフは事務作業が多くなるので嫌なんです。現場が好きなので、キャリアとしてはそんなに望んでいません。目標としては、介護技術を学んで、将来自分の国に帰ったときに役に立てたらいいと思っています。

ザーさん

経験を重ねて、介護リーダーになりたいです。難しいかもしれませんが、頑張りたいと思っています。自分の考えで、もっといろいろなことをしたいです。

アナさん

わたしは早くに両親を亡くしたので、利用者さんを自分の家族だと思って介護しています。施設へ行くと、わたしのことを待っている利用者さんがいます。それはとてもうれしいです。これからも楽しく続けていけたらいいなと思います。

 

3回でお送りした「介護職の外国人」はいかがでしたか。
3人のお話を通して、介護職のことが少し身近に感じられた方、介護職のイメージが変わったという (かた) もいたのではないでしょうか。3人全員がこれからも介護の仕事を続けたいと話しており、それぞれにやりがいや楽しみを見つけながら、楽しく仕事をされているのが伝わってきました。

3回シリーズでお届けしましたが、今回が最終回です。来月からは新しいシリーズが始まります。