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「衣食住」について ー第3回 住居についてー ~ミャンマー、アメリカ、フィリピン出身者が語る~

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左から、アメリカ出身のミオさん、ミャンマー出身のリンさん、フィリピン出身のヒキシマさん。

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第1回はコチラから

第3回 住居について

衣食住について、3回シリーズでお届けしています。最終回は「住居」についてです。母国と日本では、部屋の大きさも、レイアウトも違うことが多いようです。今回も3人の経験や母国との違いをたくさん話していただきました。

 

今の家はどのように見つけましたか。

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便利な所に住んでいるので、ほかの町に住みたいと思わない、とリンさん。
リンさん

高田馬場に妹と住んでいたのですが、職場に近い墨田区に引っ越しをしました。部屋を探した当時は日本語があまり話せなかったので、ミャンマーの先輩たちが助けてくれました。不動産屋に行ったのもそのときが初めてでした。

ヒキシマさん

都営住宅に25年くらい住んでいます。子どもが3人いて離婚をしたときに、フィリピンに帰ろうかと思ったんですけど、日本人の友達が都営住宅を教えてくれたんです。本当に助かりました。子どもたちが無事に育って、大学まで卒業することができたので本当によかったです。

ミオさん

Google検索で探して、不動産情報サイトから見つけました。わたしはミュージシャンだから、防音室のあるとこがいいし、録音やライブ配信もしたい。そのほか駅が近くて窓は大きいほうがいいなど条件があったので、何か月も探しました。そして、ほぼ理想どおりの部屋を見つけました。部屋はすごく狭いけど、自分専用のスタジオがあって贅沢です。駅にも仕事場にも近くて、緑が多い環境にとても助けられています。

ヒキシマさん

都営住宅に当たるまで2年間待っていました。フィリピンに都営住宅のようなものは少ないです。

リンさん

わたしも部屋を見つけるまでに2か月くらいかかりました。

ミオさん

外国人はダメというところもたくさんあるので、時間がかかりました。日本語ができるか、という確認のためにすぐに電話してくるところもありました。

リンさん

わたしもその経験はあります。

みなさんの国と、システムの違いはありますか。

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日本の住まいが大好きという、ヒキシマさん。
ミオさん

引っ越しするといろいろな手続きが必要なので調べていたときに、転入届などを知りました。外国人の手続きなどは、英語のページの情報を見ることが多いです。区役所の手続きとかは、日本語で調べますね。調べるものによって違います。

リンさん

わたしは日本語で調べることが多いです。

ヒキシマさん

役所の手続きに関することなら、最近は日本語で調べます。分からないことは、区役所などに直接聞くのが一番だと思います。

ミオさん

そうですね。ただ、役所に行くと、(外国人の私を見て)担当の人が緊張しているのがわかります。だからすぐに話しかけて、日本語を話せることをアピールします。職員の方の安心した表情を見るのが好きです。

ヒキシマさん

部屋を借りるとき、日本は敷金と礼金が必要ですが、これはフィリピンにもあります。敷金(deposit)と頭金(down payment)などは払います。3か月分くらいです。

リンさん

ミャンマーは敷金1か月分だけあります。礼金はびっくりしました。ミャンマーにはありません。払わなければいけないの?と思いました。今の部屋は、敷金2か月分と礼金1か月分でした。

ミオさん

礼金はすごく腹が立ち、文化の違いに戸惑いました。アメリカの家族に話したら「詐欺じゃないの?」と言われました。(笑)そして、礼金なし、仲介手数料なし、ということを条件にしました。日本に長く住んでいないから、まだそんなに日本円を持っていないんです。

ヒキシマさん

更新料もあるんですよね。

ミオさん

更新料は1か月です。

リンさん

ミャンマーは1年に1回、契約を更新しますが、手続きだけで更新料は取りません。

ヒキシマさん

フィリピンもないです。

ミオさん

ほとんど家族と暮らすか寮に住んでいたので、アメリカの不動産事情は詳しくないんですが、一度アパートを探したことがあります。礼金はなく、敷金と給与証明書、保証人も必要でした。更新料はわかりません。アメリカはたぶんアパートによっても違うと思います。

リンさん

ミャンマーは保証人はいりません。

ヒキシマさん

フィリピンも保証人はいりません。お金があれば割と簡単に借りることができます。日本は大変ですね、保証人を探すのが。

リンさん

3~4軒の大家さんから外国人はダメと言われて、保証人は日本人か永住者じゃないとダメと何回も言われました。10年以上前のことだから今はそんなことないと思っていますが、そのときは本当に厳しかったです。

母国と日本の住まいとでは、どんなところが違いますか。

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部屋探しはかなり時間をかけて探したという、ミオさん。
リンさん

家については全然違うと思っています。ミャンマーの家は日本より広くて、大きいです。あと、ミャンマーの場合は玄関から入るとまずリビングで、次に寝室です。台所やトイレ、洗面所は必ず奥にあります。そこが大きな違いです。

ヒキシマさん

わたしは日本の家、大好きです。日本の家にはベランダがあるのがいいです。フィリピンの家にはないので。あと、(日本の家の)トイレは玄関先にあってよかったと思っています。いつもきれいにしなきゃいけないから。

ミオさん

いいですね。それはモチベーションになります。

ヒキシマさん

とくに畳が大好きで、匂いも好き。本当にホッとします。

リンさん・ミオさん

畳が大好きです。匂いも、触った感じも好きです。

ヒキシマさん

フィリピンでも日本と同じように靴を脱いで家に入ります。

リンさん

ミャンマーも同じですね。

ミオさん

アメリカ人は靴を履いたまま家に入ると思われているけど、違います。だって汚いじゃないですか。靴を履いたまま家に入るのは、多分1%くらいの家だと思います。

ヒキシマさん

アメリカの映画を見ていると、靴のままだからそう思っていました。

ミオさん

それは本当の家じゃなくて、映画のセットですから。靴はラグのところに脱ぎます。日本のようにきれいに靴を並べるということはしません。

日本の家にリクエストするとしたら、何ですか。

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3人とも日本のお風呂と畳が大好きだそうです。
リンさん

今まで日本で住んできた家は天井が低いです。天井が低いから、狭く感じます。ミャンマーの家は天井が高いので、日本の家に入ると、おもちゃの家に入ったように感じます。できれば天井が高くなるといいなと思っています。

ミオさん

今の部屋のシャワーは頭がぶつかります。

ヒキシマさん

それは家によって違うのかもしれません。わたしもいろいろな家に住みましたが、今の都営住宅は天井も高いですよ。ただ、個別の部屋や浴室に、なぜカギがないのかわかりません。お年寄りのためかもしれませんね。

ミオさん

アメリカとは全部が違うから、比べられないです。わたしの部屋はアメリカの姉の家のバスルームよりも小さいですが、仕方ないと思っています。ユニットバスなので、飛行機のトイレみたいと思いました。肘をよくぶつけますが、だいぶ慣れました。日本はお風呂(浴槽)が必ずあるのはいいですね。

ヒキシマさん

フィリピンは暑いからシャワーだけでしたが、今は入浴剤を使ってお風呂を楽しんでいます。

リンさん

ミャンマーもシャワーだけでしたが、日本ではお風呂を使っています。お風呂は本当に気持ちがいいし、疲れがとれます。ミャンマーにもあるといいんですが。

「衣食住について」の座談会は、身近なテーマということもあって次々と話題が広がり、各国の違いも知ることができました。このテーマは今回で終了です。9月からは「仕事と休日について」を3回シリーズでお届けします。