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「日本の暮らし」について ー第3回 ご近所とのおつき合いー ~タイ、ボリビア、ウガンダ出身者が語る~

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左からボリビア出身のセラノ・ミゲルさん、ウガンダ出身の羽上 (はがみ) 珠希さん、タイ出身の清水エドさん

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第1回はコチラから

第3回 ご近所とのおつき合い

東京の暮らしについて、3回シリーズでお届けしています。第1回目のテーマは「日本語について」、第2回目は「ごみの捨て方について」でした。そして3回目は「ご近所とのおつき合い」について、話をしていだきました。

近所の人との挨拶について

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ウガンダの人たちは、みんなフレンドリーです。近所の人と挨拶をします。
羽上 (はがみ) 珠希さん(以下:珠希)

今のマンションの人たちは、みんな挨拶をします。以前のマンションでは挨拶をしても、誰も返事をしてくれませんでした。この経験から、自分のルールを作りました。挨拶をされたら返事をしますが、挨拶されなかったら私もしません。

セラノ ミゲルさん(以下:ミゲル)

挨拶したら返事がないと嫌ですね。

珠希さん

会社の偉い人にも返事をしない人がいました。わたしは挨拶をしますが、気持ちは嫌です。ルールを決める前は、いつも挨拶していました。
ウガンダの人たちはフレンドリーです。近所の人には必ず挨拶をします。挨拶しなかったら、みんなプライドが高いとか悪い人だと思います。

清水エドさん(以下:エド)

わたしも必ず挨拶をします。以前住んでいたところで、珠希さんと同じ経験がありました。いくら挨拶しても返事をしてくれない人がいました。若い人だから恥ずかしいのかなと思ったんですが、ある日、たまたま彼女とお母さんが一緒にエレベータ―に乗っていたので「こんにちは」と挨拶をしました。二人 (ふたり) とも返事がありません。お母さんが挨拶をしないから、彼女もしないのかと思いました。わたしは悔しいので、その後も会うたびに挨拶していました。

ミゲルさん

近所の人と挨拶しますよ。何回挨拶しても返事をしない人には、もうしませんけど。知っている人には、ベランダの上からでも「こんにちは」と言います。

エドさん

タイの挨拶は「こんにちは」ではなく、「どこ行くの」です。家の前を通る人には、「ご飯食べていけば」って言います。

珠希さん

ウガンダも一緒です!

エドさん

ご飯を本当に食べていかれると困るんですけどね。

ミゲルさん

ボリビアもフレンドリーです。ベランダ同士でも、向こうから「今日はどうするの」なんて話をします。近所はすごく仲がいいので、週末は必ずどこかでパーティーをしているので、みんなに食べに来てと言ってくれます。

珠希さん

ウガンダも一緒です!

挨拶は安心安全につながる

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タイの挨拶は「どこ行くの」「ご飯食べていったら」といいます。
ミゲルさん

今の家で、たまにバーベキューをするんですね。ごはんの時間には隣の人にも「どうぞ」と言ったりします。友だちが来たときは音楽をかけることもあるので、「うるさくしてすみません」と先に言います。そうすると「気にしないでね」と言ってくれます。近所の人とは仲がいいです。
近所の人と挨拶をしたり、顔を知っていると、町の安心や安全につながると思います。

珠希さん

わたしもそう思います。

エドさん

タイ人(日本在住)のSNSのなかでは疑問があるようです。事件があると近所の人がインタビューで、犯人のことを「いつも挨拶をしてくれていい人です」と答えているのをよく見ます。挨拶するだけで、いい人なの? そんな疑問を持つ人も多いです。
みなさんは近所に気軽に話せる人はいますか。

珠希さん

わたしはいません。

ミゲルさん

会ったときに気軽に話す人はいます。とくに祭りのときのメンバーには、声に出して挨拶をします。でも、プライベートな話をすることはないです。
町内に一人暮らしのおばあちゃんが住んでいるんですけど、子どもたちに「どうぞ」ってお菓子をくれるんです。僕がスーパーに行くときには「何か必要なものがあれば買ってきますよ」と声をかけたりしています。

エドさん

ミゲルさんは町会の仕事を手伝っているんですね。

ミゲルさん

お祭りや火の用心、防災訓練も手伝います。

珠希さん

火の用心は何ですか?

ミゲルさん

「冬は乾燥していますから、火事が多いので気をつけてください」と、町会の人たちと外を歩きながら「火の用心」と声に出して言います。最後に豚汁をいただくんですが、それがとてもおいしいんですよ。

珠希さん

知りませんでした。聞いたことがありません。

エドさん

初めて聞いたとき、すごく怖かったです。マンションで窓を閉めていると聞こえないのかもしれませんね。

防災訓練をしたことがありますか

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「近所はお年寄りが多いので、町会の用事はよく手伝っています。ほかに外国人もいますが、お祭りのときには見かけません」
珠希さん

防災訓練は会社で毎年しています。

エドさん

日本語のボランティア教室で、防災館に何回か行きました。

ミゲルさん

町会の防災訓練は公園でしています。消防の人と一緒に、ケガをした人を担架に乗せたりすることもしました。
子どもがいるので防災の準備はしています。地震があると、すぐに子どもの部屋を見に行くんですが、子どもたちは揺れてもあまり起きません。

珠希さん

水とか食べ物の用意はしていませんが、懐中電灯とヘルメットは持っています。

エドさん

水や食べ物は少し準備しています。防災グッズの食べ物ではなくて、いつも食べているものを少し多めに買ってストックしています。防災用の食べ物だと、ずっと置きっぱなしで食べないんですよね。
初めて日本で地震にあったときは、パスポートとか荷物を準備していたら、夫は隣で寝ていました。全然起きなかったんです。自分の住んでいる町で、避難場所がどこかと、防災グッズなどを準備している場所などがあれば知りたいです。

町会に誘われたら入りますか

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珠希さん「お祭りの情報は、掲示板よりポストに入れたほうが確実に読みます」。ミゲルさん「回覧板が回ってきます。それでお祭りや防災訓練などもわかります」。
エドさん

町会に誘われたら、何をするかによります。町会のイメージは、女性の場合は片付けだとか料理を作るイメージが強いです。家でもしているので、それだけで精一杯です。ダンボール集めとかならしてみたいと思います。

珠希さん

わたしは参加したくないと思います。日本人の中に、1人だけ外国人というのは合わないと思います。外国人と日本人がそれぞれ混ざっている場所は好きです。1人になるのは嫌です。

ミゲルさん

最初は僕も珠希さんと同じでした。でも2回くらい参加すると慣れるので、気持ちが変わりますよ。1回参加したら、次はみなさんが声をかけてくれます。町会の人も僕が行くことを楽しみに待っていてくれます。

エドさん

わたしも福岡に住んでいたときに、近所のおばさんたち10人くらいで外国人はわたし1人だったんです。最初は緊張しましたけど、地元の話などいろいろ聞けて楽しかったです。珠希さんも経験するといいと思います。

珠希さん

誘われたら行きます。誘われることが大事です。自分から参加して入ると変だと思うかもしれないので、誘われたら自分の意志で決めたいです。

エドさん

珠希さんの気持ちわかります。自分から行くのは難しいです。全然知らない人たちの中に、ポツンと入るのは勇気のいることだと思います。

珠希さん

日本に長く住んでいないので、もう少し経験したいです。

── 終わり