地域日本語教室
vol.15 NPO法人こまえにほんごしえん「にほんごサロン」
東京都つながり創生財団の地域日本語教育コーディネーターが、都内の日本語教室を訪問し、「日本語教室活動レポート」でご紹介します。
第15弾は、NPO法人こまえにほんごしえん(狛江市)の「にほんごサロン」です。
狛江市とは
狛江市は、東京都下の多摩丘陵の東南端多摩川沿岸に位置し、多摩川をはさみ神奈川県川崎市に接しています。
市の面積は6.39㎢であり、全国で2番目に小さい市です。
市の中心部にある狛江駅へは、新宿駅から電車でたった20分で移動できるにもかかわらず、市内には多くの古墳が残り、多摩川沿岸には四季折々の自然豊かな光景が広がっています。
人口 (令和7年8月1日現在) 82,253人
うち外国人人口 1,822人
NPO法人こまえにほんごしえん「にほんごサロン」
NPO法人こまえにほんごしえんの「にほんごサロン」は、以前にも「日本語教室活動レポート」で取材したことがあります。
https://tabunka.tokyo-tsunagari.or.jp/log/topics/2023/04/vol7.html
前回は子どもの支援を中心にした取材でしたが、今回は子どもだけでなく、保護者等の大人も支援している様子をご紹介したいと思います。
「にほんごサロン」は第1、第2、第3土曜日に狛江西河原公民館で開催され、大人も子どもも集まります。
子どもに対しては、学習支援、日本語指導が目的というより、交流や居場所が目的になっています。
訪問した日は、子ども達はカードゲームをしていました。
いつもの会議室が予約できなかったそうで、たまたま和室で開催された日でした。
和室は靴を脱ぐ等の不便さがありますが、自然と頭を寄せてゲームに集中する様子や、畳に座って子ども同士で話している様子は、まるで自宅でくつろいでいるように見えました。
一方で、子どもの保護者は学校から配られたプリントを、一つ一つ支援者と一緒に内容を確認していました。
子どもが参加する学校行事の案内が書かれたプリントの様でしたが、分からない言葉を確認するだけでなく、そもそもどういった行事なのかを「やさしい日本語」で確認していました。
「にほんごサロン」には、子どもと一緒に参加する方だけでなく、大人だけで参加する方もいます。
テキストを使って支援者とマンツーマンで日本語を学習していました。


その他、狛江市から都外へ転出した子どものために、オンラインでつないで日本語でゲームをしている支援者の方もいました。
早口言葉を使ったゲームで盛り上がっていました。
NPO法人こまえにほんごしえんの活動

右端が代表の檜垣さん、中央が「にほんごサロン」で日本語を学習しているダラミさん、左端が支援者の大田さんです。
NPO法人こまえにほんごしえんは、取材した「にほんごサロン」のほか、市内の小・中学校の放課後に行う児童生徒への「放課後支援」、学校のプリントや資料の「やさしいにほんご」への翻訳、日本語から母語への翻訳、通訳、日本語学習・文化交流を主としたイベントの開催など、幅広い支援をしています。
子どもの日本語支援から始まった活動が、自然と、保護者を対象にした支援にも広がったと伺いました。
支援者の中には、団体のホームページ制作を担当する方や、日本語教育を専門とする大学の教授等がいらっしゃいます。
団体が行う幅広い支援は、現在の代表である檜垣さんが積極的に広げてきたネットワークによって集まった多才な支援者に支えられています。
訪れてみて・・・
檜垣さん達がカードゲームに誘っても、入りたくないと言っていた子どもは、和室の端で、一人で漫画を読んでいました。
「にほんごサロン」の会場である狛江西河原公民館の隣には図書館があります。
私は、その子どもは「にほんごサロン」に来る前に、あえて漫画を借りてから、「にほんごサロン」に来たのではないかと思い、そんな自由も許される場所であるということが、子どもにとっては、気楽に来れる場所になるのかなと想像しました。
大人も子どもも来やすい場所であり、何か困った時に相談しやすい場所が近所にあるというのは、どれだけ心強いことかと思います。
今後も、NPO法人こまえにほんごしえんの活動に注目していきたいと思います。
by AS