やさしい日本語

活用事例

楽天モバイル株式会社 やさしい日本語で、サービス利用の不安や困りごとを取り除く

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楽天グループの中で、スマートフォンやインターネット等の通信サービス事業を担う楽天モバイル株式会社。グループ全体で推進する社内公用語の英語化や人材のグローバル化を背景に、近年、日本在住の外国人ユーザーを増やし続けています。日本語を母語としないユーザーに向けて多言語対応の強化を図る一方で、楽天モバイルが新たに取り組んだのが やさしい日本語を活用したサービス設計。やさしい日本語を使った料金の支払い方法に関するチラシや案内状の作成、お知らせメールの配信等を行っています。

やさしい日本語導入の背景や狙いについて、マーケティング企画部 ペイメントデザイニング課 シニアマネージャーの勝間田さんにお話を伺いました。

 

外国人ユーザーに寄り添ったサービスを提供

―楽天モバイルを利用する外国人が増えているそうですね。

楽天モバイルのサービスは幅広い層のお客様にご利用いただいており、外国籍の方も大きく増え、ショップにおける契約数の約25%が外国籍のお客様です(2025 (ねん) 4 (がつ) 時点)。楽天グループ全体が多国籍の社員で構成されており、多様な価値観を活かしたサービスを提供していることが、外国籍のお客様の増加につながっていると考えています。具体的には、わかりやすい料金プランの設定に加え、ウェブページの多言語化、多言語対応が可能なショップクルーの配置、契約時に必要となる書類の多言語化等の取り組みにより、さまざまな国のお客様に寄り添ったサービスを実現しています。

 

MMD研究所

MMDLabo株式会社「在留外国人の通信サービスに関する調査」調査データリリース(2025年4月2 () 発表)より

―外国人ユーザーの増加に伴って顕在化した課題はありますか?

私が所属するペイメントデザイニング課では、お客様への携帯電話料金のご請求やお支払い方法のご案内を取り扱っています。例えば、通常のお支払い方法の設計や拡充に加え、お客様の携帯電話の料金が未払いになった場合に、より利便性や顧客満足度の高い形でリカバリーする方策はないかといったことを検討しています。
料金の未払いによって、利用停止になったり、解約に繋がってしまったりするお客様を分析すると、相対的に外国籍の方の比率が高いことがわかりました。その理由の一つとして、海外では電話料金の支払いはプリペイド(前払い)方式が主流の国もあり、日本では一般的な月額料金をクレジットカードや口座振替で後払いするという支払方法になじみのない (かた) が多いことが挙げられます。料金の支払いが滞ってしまった場合、こちらからまず「お支払い案内状(払込票のハガキ)」をお送りするのですが、外国籍のお客様の中には払込票を初めて見る (かた) もいるようで、どうやって払えばいいかわからない、といった問い合わせがショップやカスタマーサポートセンターに多く寄せられるようになりました。

 

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楽天モバイルウェブサイトより
「未払い料金発生~契約解除までの流れ」(2026年2月時点)

やさしい日本語でお客様の困りごとをサポート

―課題の解決に向けて、やさしい日本語を導入した経緯を教えてください。

月額料金のお支払い方法や料金未払い時の対応については、現在ウェブサイト等に多言語の案内を追加しているところですが、外国籍のお客様が使用するすべての言語に対応することは難しいのが現状です。では、どのようにすればお客様に正しく理解していただけるのか。チームで議論を重ねる中で、メンバーから出たアイディアが やさしい日本語でした。簡単な表現が使われていたり、ルビが振ってあったり。日本語に不慣れな (かた) への配慮として役所や公共機関で使われていることは知っていましたが、改めてみんなで調べていく中で、コミュニケーションの手段として非常に有用なのではないかと気づかされました。2024年末頃から試験的に活用をスタート、本格的に やさしい日本語を使ったサービスの提供を始めたのは2025年になってからです。

 

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「未払い料金発生~契約解除までの流れ」について、やさしい日本語で書かれたチラシ

―具体的に、やさしい日本語をどのように活用されていますか?

ショップで契約される方がほとんどなので、外国籍の方にお渡しするチラシに、やさしい日本語で具体的なお支払い方法を記載しました。「ご利用の月の、このタイミングでお支払いがあります」、「銀行の口座振替の場合、あらかじめ口座にお金を入れていないとお支払いができません」、「お支払いできなかった場合、こういう方法で払います」といった内容を、やさしい日本語で表記しています。また、外国籍の方が未払いになった際に送るアプリ上でのお知らせでも同様に やさしい日本語を使用しています。

 
楽天モバイル_やさしい日本語_アプリ通知

アプリでも やさしい日本語を使って案内

―やさしい日本語の導入について、社内やお客様からどんな反応がありましたか?

以前は、全国にある楽天モバイルショップのスタッフから、外国籍のお客様へのプランの提案や説明が大変だという声が寄せられていましたが、やさしい日本語で書かれたチラシの導入後は、説明がしやすくなったという声や、お客様によりスムーズに理解いただけるようになったという話が聞かれるようになりました。

また、数字でも取り組み開始後の未払い件数や割合に、改善の効果が現れています。「払う意志はあるのに払い方がわからない」「なぜ未払いになってしまったのかわからない」といった状況に陥っていたお客様が、やさしい日本語で書かれたメールを通して、「こういう時は、こうすればいいんだ」と理解できるようになり、支払いにつながるケースも増えてきました。こうした成果から、社内でもこの取り組みは高く評価されています。

 

最もやさしく、誰にでも伝わる表現にたどり着くまで

―やさしい日本語の導入にあたり、苦労はありましたか?

やさしい日本語のチラシの場合、日本語バージョンの元のチラシと同じ情報量を入れることはできません。そのため、情報の取捨選択や要点の伝え方、漢字や表現をどの日本語レベルに合わせるのかなどについて、チームで何度も話し合いました。その結果、日本語能力試験(JLPT)「N5」という、最も やさしい初級の日本語レベルを指標とすることにしました。これには、モバイルというサービスの特性が大きく関わっています。日本で働いたり、勉強したりするために来た外国籍の方にとって、携帯電話の契約は最初にやらなければならないことの一つですが、その際に困る (かた) の多くは、まだ日本語が十分に習得できてない方たちです。こうした方々にもわかりやすく伝えるため、なるべく簡単な やさしい日本語を使うのが最適だと判断しました。

 

勝間田さん加工

マーケティング企画部 ペイメントデザイニング課 シニアマネージャーの勝間田さん

―具体的な書き換えの工夫についてお聞かせください。

日常的によく使う言葉であれば、生活する中で自然と理解していけると思いますが、「請求」「督促」など、支払いに関する言葉には、硬くてわかりにくい表現が多くあります。そこで、言葉を噛み砕き、「すぐに、払ってください」といった日常的な表現を用い、何をすればよいかがダイレクトに伝わるように工夫しました。また、「請求書再発行手数料」のような、日本語でも意味が伝わりにくい言葉については、「ハガキが来たら、さらにお金がかかります」といった具体的な表現を使っています。

やさしい日本語の表現については、さまざまな国にバックグラウンドを持つ社員にも確認してもらい、伝えたい内容が正しく理解されるかをチェックしました。チラシのデザインに関しても、制作チームと連携し、わかりやすいイラストや配色を使ったり、ルビの振り方を調整したりと、さまざまな工夫を施しています。

 

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ハガキで支払う方法をやさしい日本語で案内(チラシより一部抜粋)

―今後の展望を教えてください。

楽天モバイルとしては、請求や支払いに関する案内にとどまらず、サービスの説明やお客様の理解促進にも、やさしい日本語の活用を広げていけるのではないかと考えています。その際には、外国籍の方だけなく、お子様やシニアの方など、すべてのお客様により良いサービスをご案内できるよう、アクセシビリティの改善を継続して進めていきたいと思います。