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NPO 法人 きずなメール・プロジェクト 妊娠・出産・子育て すべての人に「きずなメール」を
「きずなメール」で「安心・つながり・たのしみ」を
妊娠中から 3 歳誕生日までの期間、妊産婦さんや子育て中の方、そのご家族に向けて、「複数名の医師や専門家の監修した正しい情報」と「寄り添いのメッセージ」を届ける「きずなメール」事業が全国で展開されています。
LINE やメール、Twitter、アプリ等、様々な方法でコンテンツ(原稿)を配信し、妊娠出産から子育てまで切れ目なく、「弱いきずな」で「ゆるやかにつながり続けること」で、孤育て・産後うつ・乳幼児虐待を予防します。
きずなメール・プロジェクト代表理事の大島由起雄さんに、活動内容を伺いました。
「きずなメール」が生まれたきっかけは、大島さんご自身の体験からでした。
大島さんは、出版社に勤めていた頃、パートナーが妊娠したことをきっかけに、胎児の成長を毎日紹介するアメリカのデイリーブック「The Pregnancy Journal」と出会いました。胎児の日々の成長をイメージできることで安心感が生まれ、誕生を心から楽しく待つことができるコンセプトに心を動かされました。
その後、子育てをする中で、様々な社会課題(孤育て、乳幼児虐待、産後うつ)に気づきました。そして、「The Pregnancy Journal」に着想を得て、ライターでもあるパートナーとともに、全ての原稿をゼロから作成し、毎日、おなかの赤ちゃんの成長の様子と母親へのアドバイスをメールで届ける「きずなメール」を完成させ、2010 年に NPO 法人として「きずなメール・プロジェクト」を設立。ミッションは「孤育てを予防し、誰もがかけがえのない新しい命の誕生を迎え、子育てができる社会の実現」です。
その後、読者アンケートを実施したところ、出産後もメールを読みたいという強い要望がありました。そこで、複数名の専門家と協力し、「子育てきずなメール」を制作。配信方法も、アプリや LINE、Twitter と増やしていきました。
医療・地域情報をタイムリーにお届け
「きずなメール」は、主に自治体や医療機関と連携して配信しており、メール内容は連携先に合わせて作成しています。
自治体と連携して配信している「きずなメール」のメッセージには「幹」と「枝」があります。
「幹」は「きずなメール」原稿です。胎児や乳幼児の発達の様子、その時期の不安・心配事、具体的なアドバイスや注意点等です。内容は、産婦人科医、小児科医、家庭医や管理栄養士等、複数名の専門家が監修しています。
「枝」は、自治体からの支援情報です。検診や予防接種、各種教室の案内や相談窓口情報などが掲載され、その時に受けられる支援の情報がタイムリーに届きます。
妊娠初期から産後 100 日までは毎日、その後も3歳の誕生日まで、約 540 通のメッセージを届け、社会とのゆるやかなつながりを支援しています。
「きずなメール」を活用する千葉県松戸市では「まつど DE 子育て LINE」として配信されています。講読者にアンケートを行ったところ、「届いたら必ず読む」が 87.3%、「登録してよかった」とする回答が 85.7%と大きな支持を得ました。また、「不安な気持ちがやわらいだ」「市の子育てサービスを利用するきっかけになった」など、手応えを感じる反響がありました。
「子供だけと向き合う時間は時に過酷でした。そんな中、タイムリーな話題やアドバイスを届けていただいて、本当に嬉しかったです。これで上の子へのメッセージがおしまいと思うと残念ですが、下の子でまだお世話になれるので、ありがたく思います。これからも私を含め、たくさんの親子を支えてください!」(利用者からの声)
このようなメッセージを受け取るたび、本当に励みになると、大島さんは言います。
「やさしい日本語」で誰もが読める「きずなメール」を
事業の立ち上げ当初から「きずなメール」の多言語化は重要なミッションの一つでした。
妊娠や育児で不安を抱えているのは日本人だけではありません。
在住外国人の妊産婦さんや子育て中の方、そのご家族も、言葉や文化の壁で「孤育て」になりがちで、サポートが必要です。
外国人を親に持つ子どもは毎年日本で 2 万人近く誕生します。初めての妊娠や出産でとまどうことが多いところへ、医療制度や社会の仕組みも違い、親の不安はさらに大きくなります。
在住外国人向けに最初に制作したのは、英語版です。「Maternity Kizunamail」が 2018 年に完成しましたが、全ての外国人に対応しようとすると 37 言語が必要だと言われています。その時、原稿を監修してくださっている医師の太田寛先生(きずなメール・プロジェクト理事)が「やさしい日本語はどうだろう」「やさしい日本語なら外国人の約 80%をカバーできる」と提案してくださったのです。
ただ、やさしい日本語を必要とする人たちは少なく、事業化は難しいという実情がありました。そこで考えたのがクラウドファンディング。原稿をやさしい日本語に翻訳するために必要となる支援を呼びかけたところ、目標額を上回る支援金を集めることができました。
誰一人取り残さない「LEAVE NO ONE BEHIND」でメッセージを届ける
「きずなメール」のやさしい日本語版は、2021 年度内の配信を予定しています。やさしい日本語にする際の課題は、いかに内容を絞り込むかがポイントだと大島さんは言います。
今の「きずなメール」原稿をやさしい日本語に翻訳し、ふりがなを付けていくと、どうしても文章が長くなります。このため、まずは最初に文字数を絞り込む必要があります。どのような内容を重点的に伝えていくか等、制作監修者の先生方との原稿の見直しが不可欠です。
胎児や子どもの発達の経過は、国が違っても基本的には同じです。生活習慣や行政サービスなどの情報を加え、地域とやさしくつながっていけるように編集していきます。
スタッフには、元読者で、パートナーが在住外国人の方もいます。
自身が妊娠出産子育て期間に「きずなメール」に助けられ、届ける側に回りました。「読者だった時は英語版もなく、パートナーと一緒に読む事ができなかった。日本人からすると、やさしい日本語版があればパートナーとメッセージを共有できます。在住外国人の方にとっては、日本での妊娠や子育ての事情を知る機会になります」と言います。
いずれは、読み書きが難しい人たちへ音声やイラストの配信なども検討していきたいとのこと。
また、NPO法人としての国内での長期目標は、「きずなメール」のような「テキストメッセージでゆるやかにつながり続ける手法」が「日本の母子手帳」のように、誰でも無料で利用できるようになることです。
「やさしい日本語版は、誰一人取り残さない『LEAVE NO ONE BEHIND』という思いにつながっています。『メッセージを作り配信する』ことも大事ですが、『より多くの人が存在を知って、実際に読んでもらう』ことも、同等以上に重要なことです。今後もやさしい日本語版の制作はもちろん、それ以外にも『知ってもらう』『読んでもらう』ための活動を続けていきます」(大島さん)
「きずなメール」のやさしい日本語版の配信に向けた取組
現在、やさしい日本語への翻訳に取り組んでいます。今配信されている「きずなメール」をベースに、ルビをつける、分かち書きをするなど、読者が一番分かりやすい表記も検討中です。
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【取材日:2021 年 3 月 16 日】