やさしい日本語

活用事例

やさしい日本語劇団 コントを通じて「やさしさ」を考えるきっかけを

「やさしい日本語」を楽しく伝えたい

 やさしい日本語劇団は、名古屋市を中心に、寸劇(コント)を通して多文化共生社会における共通言語としての「やさしい日本語」を広める活動をしています。劇団の皆さんに、取組についてお話を伺いました。

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やさしい日本語劇団の皆さん。

 

 劇団員の大半は、東海地域で外国人との交流活動や日本語学習支援をしている個人、団体の情報交換等を促進するネットワーク「東海日本語ネットワーク(TNN)」のメンバーです。TNN は 1994 年に設立され、月例の研修会や日本語支援に関する調査、年に 1 度シンポジウムを開催するなどの活動を続けています。

 

 劇団立上(たちあ)げのきっかけは、TNN が 2017 年に開催したシンポジウムでした。テーマは「やさしい日本語」。やさしい日本語を分かりやすく伝える方法としてコントに注目しました。TNN メンバーの有志と 2016 年の熊本地震をきっかけに立ち上がった「多文化防災ネットワークワーク愛知・名古屋(TABO ネット)」の人たちが共同で役所の窓口対応や町内会での会話、敬語や方言など、やさしい日本語が必要となるシーンを短いコントに仕立てて披露したところ、「具体的で分かりやすく身近に感じた」など好評でした。「1回で終わらせてしまうのはもったいない」と、コントを上演した仲間(なかま)に声をかけてメンバーを募り、シンポジウム翌年の 2018 年 3 (がつ)に劇団を旗揚げしました。

 

楽しいシナリオで「やさしい日本語」を説く 

 劇団では、(ねん) 1 回定期的に名古屋市の多文化推進月間(8 (がつ))にあわせて上演を行います。そのほか、口コミで活動を知った団体や日本語学校など様々な組織から依頼を受け、コントの上演やワークショップ活動などを行っています。

 

 登録メンバーは 23 名(2021 年 2 (がつ)現在)。すべてボランティアで、シナリオも手作り、衣装も自前です。月例のミーティングでは、日常生活の中でメンバーが気づいた「やさしくない日本語」を取り上げ、おもしろくシナリオにしていきます。

 

 メンバーの職業は様々で、外国籍のメンバーもいます。シナリオの題材は外国籍のメンバーの実体験のエピソードから来ているものがたくさんあります。防災からゴミ出しまで様々なジャンルの 20 作品以上のシナリオができており、アイデアを次々と形にしています。

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定例会やネタ会議では団員の皆さんが集まり、実体験で起こった話や「やさしくない日本語」シーンについて話し合っています。

 

無意識の「残念なコミュニケーション」を「やさしい日本語」で変えていく 

 コントで演じられる外国人とのコミュニケーションを通して見えてくるのは、困りごとに寄り添う姿勢の大切さです。やさしい日本語に必要なのは、言葉のやさしさだけでなく、人に接する態度のやさしさだと外国人メンバーのキムさんは言います。

 

 「例えば、ショッピングセンターでカードを作ろうと窓口に行くと、担当者は本人の私にではなく、付添いの日本人にばかり話しかけます。私とは目も合わせません。私はここにいるのに、どうして無視するの?って思ってしまう」(キムさん)


 外国人には日本語が通じないからと、日本人だけを相手とする「残念なコミュニケーション」が生まれてしまうのです。また、日本語で話しかける場合も、相手のことを気遣う気持ちが大切です。

 

 「人によって理解できるレベルが違うのだから、何でも簡単な言葉にすればいいわけではないです。やさしい態度で接してほしい。相手の言うことを分かろうとする姿勢、自分の言いたいことを分かってもらおうという姿勢は相手に分かるし、やさしさが伝わります。日本人が気づかないでいることを、コントを通してもっと発信していきたいです」(キムさん)

 

「やさしい」は「リスペクト」の心 

 やさしい日本語は、相手がやさしさを感じるかどうかが重要で、正解はありません。コントで繰り広げられる様々な「残念なシーン」をみた人から、どう言えば正しいのかを聞かれることもありますが、「答えを用意しても良い方向に行かない」と、メンバーの米勢(よねせ)さんは言います。

 

 「相手によって日本語のやさしさが異なりますから、機械的に言葉を簡単にする考え方で正解を探しても上手くいかないでしょう。『この日本語はやさしくない』と感じたら、どうすれば分かってもらえるのか自分で考えコミュニケーションをとっていくことで、やさしい日本語になっていくのです」(米勢(よねせ)さん)

 

 劇団のコントは、日常のどこにでもあるコミュニケーションの場面を演じています。身近な場面を題材にすることで、私たちがどうすればよいかを自分の事として考えるきっかけを作り、周囲にやさしいコミュニケーションを必要としている人がいることに気づかせてくれます。

 

 「やさしい日本語をきっかけに、外国人だけでなく、高齢者や障害者、男女共同参画など、人権の基本的な考え方の一つとして、相手に合わせたコミュニケーションを考えていきたいです。どうやって分かりあい、一緒に歩いていけば良いのか。やさしい日本語は、多様な人のつながりを広く強くしていくことができるのです」(椿さん)


 「以前、日本人の『やさしさ』を表す(ことば)として“respect(敬意)”という英語をあてた翻訳をみたことがあります。まさにこれだと思いました。相手に敬意をもちながら、やさしい日本語でどう表現するかが大切です」(米勢(よねせ)さん)

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2021 年 1 (がつ)の名古屋市主催のシンポジウムで、これまでに演じた動画に劇団員の対談を加えたものをオンラインで披露しました。
https://youtube.com/watch?v=57yxoiuLbis



 これからもメンバーが自分たちのペースで楽しく活動を続けていきたいと、劇団代表の椿さんは言います。

 

 「いい意味での脱力感というか。決めつけないで、何でも楽しく挑戦したい。自分にもやさしく、それぞれのペースで進めていけば、多様な人とつながり、相手にとってのやさしさも見えてくるのではないでしょうか。来たい人が来たい時に集まって、できることをできる人がやっていく。それも楽しく。メンバーになりたい人、いつでも大歓迎です!」(酒井さん)

 

コロナにも負けない「私たちのパワー ! 」 

 昨年春からの新型コロナウイルス感染症対策で、活動をオンラインにシフトしました。

 8 (がつ)の年次公演では、Zoom でのワークショップ、コントもパワーポイントを駆使したアニメーションで披露。

 台本の検討から全てオンラインで行い、新たな表現や活動方法の幅も広がりました。

 


 

やさしい日本語劇団のコント

やさしい日本語劇団 HP 公演記録より

https://yasashiinihongogek.wixsite.com/yasanichi

 

【コント「外国人には英語なの?」】

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【コント「カタカナ語はわかりません」】

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【コント「うちの子にわかるかなぁ」】

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【コント「そんな日本語きいたことがない / 避難所編」】

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【取材日:2021 年 2 (がつ) 15 日】

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