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東京で自分だけのクラフトビールをつくろう!

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自宅で自分好みのクラフトビールをつくる"ホームブルーイング"。海外では多くの人が趣味として楽しんでいるが、日本では酒税法により規制されているため、個人宅でビールづくりを楽しむことはできない。しかし、そんなホームブルーイング気分を味わえる醸造所があるというので行ってきた。東京都八王子市にある「シェアードブルワリー」だ。

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シェアードブルワリーは、京王線の長沼駅または平山城址公園駅から歩いて10分ほど。新宿駅を中心とした都心からのアクセスが良好だ。住宅街の中に佇む醸造所を目指し歩みを進めると、ホームブルーイング体験への期待が高まる。

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代表を務める小林大亮氏は、クラフトビールへの情熱とホームブルーイング(自家製ビール醸造)体験を、日本でより多くの人と共有したいという思いから、2016年にシェアードブルワリーを設立した。日本では自宅でビールをつくることを規制する法律があるため、日本と同様に高いビール消費量を誇るアメリカやヨーロッパの国々に比べ、ホームブルーイングの認知度が低い。そのことを知った小林氏は、一般の人でもホームブルーイングが体験できるシェアードブルワリーを設立したのだ。醸造に必要な全ての設備とレシピが取り揃えられているシェアードブルワリーでは、自家製ビールが味わえるとともに、気軽にオリジナルビールづくりに挑戦することができる。

DSC07891.JPGシェアードブルワリーでは、ホームブルーイング体験に必要な設備が全て整っている。

シェアードブルワリーは、「ホームブルーイングの1日体験」を提供する東京で唯一のバーを併設したビール醸造所だ。個人でも団体でも参加できる7時間の体験コースでは、小林氏の指導の下で仕込みを行い、約2カ月ほどで自分好みのオリジナルビールをつくることができる。

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体験コースは午前11時からスタート。初めての人はまず必要な説明を受けてから、つくりたいビールの相談をしていく。まず、使いたいホップと麦芽を選ぶ。ビールの風味と味は、主に醸造で使われるホップと麦芽によって決まる。シェアードブルワリーでは、香りと味が異なる10種類以上のホップを用意しており、その中から選ぶことができる。

hops.jpg醸造で使うホップは、アサ科に属する植物の花。上の写真は、ビールの醸造で使われる数種類のモルト(麦芽)と粒状に圧縮したホップの花を展示したもの。

つまり、ビールづくりにはワインづくりと同じように多くの可能性があって、驚くほど創造的だと言うことだ。小林氏は、シェアードブルワリーで取り組んでいる挑戦の一つが、できるだけ多くの人が喜ぶビールのレシピを生み出すことだと話してくれた。好みの味を追求すればするほど、求める味もどんどん広がっていくだろう。もちろん、ビールのことをあまりよく知らないという人でも心配ご無用。好みの風味を決めるため、小林氏は参加者に、それぞれの材料の香りや味を体感させてくれる。

DSC07829.JPGあなたにピッタリの材料とその割合を決める最良の方法は、嗅覚を使うこと。

DSC07949.JPGシェアードブルワリーには、自家製ビールづくりに必要な設備が最初から最後まで全て揃っている。選んだ麦芽は糖化(マッシング)や煮沸といった工程にかけるため、専用の機械に投入される。

DSC07984.JPG小林氏が「マッシュタン」(麦汁をつくるための樽)を見せてくれた。この装置では、粉砕した麦芽とお湯を混ぜ、ビールの元となる「麦汁」という甘い液体を作る。

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小林氏の説明によると、糖化した麦汁で満たされた容器に酵母を加えると発酵が始まり、アルコールと豊かなフレーバーが生成されてビールになるのだそうだ。適切な発酵と熟成をさせたビールをつくるには、容器の温度を注意深く管理することが必要だ。

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約1週間をかけて一次発酵をさせると、酵母を取り除く。残った液体はさらに熟成させ、およそ1カ月~2カ月かけて完全に発酵させる。出来上がったビールは約120本(5ケース)のボトルに詰められ、自宅へと配送される。

ホームブルーイング体験の一環として、ビール瓶のラベルを自分でデザインすることもできる。

DSC08024.JPGシェアードブルワリーでホームブルーイング体験をした客がデザインしたビール瓶のラベル見本。

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シェアードブルワリーには、自家製生ビールや瓶ビールを提供するタップルーム(ビールの注ぎ口があるバー)もある。タップにはいつでも6~8種類の生ビールが用意されており、地元のスナックやおつまみと共に味わえる。

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シェアードブルワリーは、タップから生でナイトロビール(窒素ビール)を提供する日本では数少ない醸造所の一つだ(記事執筆時点)。メニューは「クリーミー・ブラック・ナイトロ」と「サンセット・メロウ・ナイトロ」。従来のビールは、炭酸とフレッシュな味わいをつくり出すために二酸化炭素を使用しているが、ナイトロビールは、25~30パーセントの窒素と70~75パーセントの二酸化炭素を混ぜ合わせて注入される。ビール業界では「ナイトロブリュー」と呼ばれ、よりクリーミーな泡が立つことで知られている。

DSC08087.JPGナイトロビールをグラスに注ぐ小林氏。

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あなたらしさが詰まったオリジナルのビールづくりに挑戦するもよし、一日の仕事のあとにバーくつろぎの時間を過ごすのもよし。新しいクラフトビールとの出会いが、シェアードブルワリーで待っている。

シェアードブルワリー

営業時間:
タップルーム
金曜日:17時~21時/土曜日・日曜日:14時~20時

ホームブルーイング体験(要予約)
ウェブサイト: シェアードブルワリー | オリジナルクラフトビールを造りませんか? (日本語のみ)
お問い合わせ:042-657-2671(片言での英語対応可)
住所:〒192-0907 東京都八王子市長沼町58-214
アクセス:京王線 長沼駅または平山城址公園駅より徒歩10分

この記事は、レイチェル・リンが執筆しました。


*この記事は、2019年10月15日に東京都国際交流委員会が運営していたLife in Tokyoに掲載したものです。