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日本の食文化に寄り添うかっぱ橋道具街®

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上野と浅草のほぼ中間、南北800mにわたって連なる『かっぱ橋道具街』は、食に関するすべての道具が揃う商店街です。戦前から続く老舗も多く、プロの料理人からも信頼が厚いお店が軒を連ねます。スカイツリーのオープン以来、外国人観光客からも注目を集め、"KAPPABASHI"は世界でも通用するワードになりつつあるようです。食を愛するすべての人たちが集う『かっぱ橋道具街』。今回は、その中からいくつかのお店に足を運んでみました。

ニイミ洋食器店

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菊屋橋の交差点から『かっぱ橋道具街』の入り口を見上げると、巨大なコック像が目に飛び込んできます。これはニイミ洋食器店の看板で、二代目 店主、新實善一氏がモデル。今ではかっぱ橋の象徴としておなじみの存在です。広い店内に足を踏み入れた途端に驚かされるのが、その品揃えの豊富さ。商店街に立ち並ぶ他のお店を見る前に、必要なものが全てここで揃ってしまうのではないかと感じるほどです。定番アイテムからマニアックな商品まで、顧客のあらゆる要望に応える道具類が所狭しと並べられています。中には、なるほど!と感心したり、何に使うんだろう?と疑問に思うような商品も。まるで新しい発見と楽しい出会いでいっぱいの宝探しのよう。ニイミ洋食器店の品揃えからは、料理人のどんな要望にも応えようという、食に関する道具の専門店としての意気込みが感じられます。

住所/台東区松が谷 1-1-1
電話番号/03-3842-0213
営業時間/10時~17時45分
定休日/日曜、1月のみ祝日

創亭 やぶきた

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業務用の和食器を扱う『陶庵 (とうあん)  やぶきた』の支店としてオープンした『創亭 やぶきた』。以前は花瓶や掛け軸 などの和風インテリア用品を扱うお店でしたが、5年前のリニューアルを機に和食器も販売するようになりました。料亭風の看板に導かれて店内に入ると、器や調度品が壁一面に並んでいます。飲食店関係の顧客が多いため、軽くて丈夫な有田焼を豊富に取り揃えているのだとか。 (ほか) にも信楽焼や九谷焼、漆製品など、合わせる料理や花を引き立たせる器が用意されています。桜の花びらが繊細に描かれた器のシリーズは、世界的な和食ブームを背景に年々増加している外国人観光客に大評判。これから世界中の食卓で、和食器 (しょっき) が並ぶ光景を目にする機会がますます増えていきそうです。

住所/台東区松が谷2-1-12
電話番号/03-5828-5081
創亭 やぶきた ホームページ
営業時間/月曜~土曜10時~17時、日祝日 12時~17時
定休日/なし

釜浅商店

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今年で創業110年を迎えた『釜浅商店』は、店名にある釜はもちろん、包丁や南部鉄器、行平鍋などを扱う料理道具店です。"良理道具~良い道具には良い理がある~"をコンセプトに、一流の料理人から寄せられる難しい要求にも応える道具類を揃えてきました。今年5月にはパリのサンジェルマン・デ・プレにも進出した、かっぱ橋でも異色のお店です。暖簾をくぐり店内に入ると、1階は包丁専門のフロア。約80種類、1000点ほど揃えられた包丁は、実際に手に取って選ぶことができます。包丁づくりに携わる職人さんたちへの敬意からあえて店名を彫ることはせず、代わりに購入した料理人の名前を刻むサービスを提供しているそうです。2階には手打ちの平鍋や南部鉄器で作ったオリジナルの浅鍋などが並びます。伝統に裏打ちされた知恵が込められた道具類は、どれも使い込むほど自分の手になじみ、末永く愛用できるものばかり。現在、料理道具フロアの改装を行っていて、来年の秋ごろにはキッチン付きイベントスペースを5階にオープンするとのこと。道具が生み出された背景や職人さんの想いを世界中に届けたい――、老舗の心意気が随所に感じられるお店でした。

住所/台東区松が谷2-24-1
電話番号/03-3841-9355
釜浅商店 ホームページ
営業時間/10時~17時30分
定休日/年中無休(年末・年始を除く)

 

元祖 食品サンプル屋

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レストランや喫茶店の店頭でおなじみの食品サンプルは、日本独自の文化。『元祖 食品サンプル屋』では、職人さんの高い技術と自由な発想で、マグネットやしおりなど独創的で楽しい商品を多数生み出しています。黄身が崩れた目玉焼きや、トッピングのチーズがとろけるスパゲッティ、炭火で炙られた焼き鮭......、店内に飾られた食品サンプルは、どれも本物と見間違えるほど精巧で、今にも湯気が立ち上がりそうな仕上がりです。1階は店舗、2階は体験スペースになっていて、小学生や修学旅行生、食品サンプルマニアの大人たちで賑わっています。自宅で作れるキット「さんぷるん」は、夏休みの自由研究としても大人気。初級から上級者向けまで用意されているので、大人の密かな楽しみとして、始めてみてはいかがでしょうか。

住所/台東区西浅草3-7-6
電話番号/0120-17-1839 ※食品サンプル制作体験は、要電話予約
元祖 食品サンプル屋 ホームページ
営業時間/10時~17時30分
定休日/なし

とうしょう窯

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一般家庭で広く使われている伝統的な美濃焼に、他にはないデザインを施したオリジナルの和食器が売りの『とうしょう窯』。ジャパニーズモダンをテーマにしたユニークな品揃えが、海外のバイヤーにも人気です。並んだ商品の中には、どう使ったらよいか見当がつかない不思議な形状のお皿も。そうした食器からひらめきを得て、新しいメニューを生み出す人たちもいるようです。他にはない個性的な商品の数々に、海外の顧客が数年後に買い足しに来たり、割れてしまったものを買い替えに来たりすることもあるのだとか。一度この店の商品の虜になると、長いお付き合いになるようです。ふと窓際に目をやると、たくさんのマグカップが色鉛筆のようにグラデーションに並べられていました。聞けば100色を用意しているとのこと。『かっぱ橋は道具街』、訪れる人のあらゆるリクエストに応えてくれる街なのです。

住所/台東区松が谷3-17-13
電話番号/03-5830-7752
とうしょう窯 ホームページ
営業時間/月~土曜日 10時~19時 日曜・祝日 10時~18時
定休日/なし

かっぱ橋道具街

四季を通し、季節ごとの旬な食材が味わえる日本。中でも東京は、同時に世界中の様々な料理が楽しめる街でもあります。そんな東京の真ん中で、食文化の移り変わりと歩みを共にする『かっぱ橋道具街』。この街の個性豊かな面々が、多様性に満ちた東京の食文化を支え続けているのです。

かっぱ橋道具街 ホームページ

*この記事は、2018年09月10日に東京都国際交流委員会が運営していたLife in Tokyoに掲載したものです。