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「江戸東京たてもの園」でかつての暮らしの息吹を感じる
四季を問わず、老若男女でにぎわう都立小金井公園。その一角にある「江戸東京たてもの園」は、江戸時代から昭和中期に建てられた30棟の建造物を移築・復元した、野外博物館です。家具や調度品に至るまでが使われていた当時のように再現されていて、多くの建物は屋内に入って見学することができます。
園の西側に位置するかやぶき屋根の家は、江戸時代の農家「綱島家」。庭に足を踏み入れると、ほのかに炭の香りが感じられます。虫がつきやすいかやぶき屋根は、煙で燻すことで虫よけをしていたそうで、園に移された現在もボランティアの方が囲炉裏に火を入れています。
園の中心近くにある瀟洒な建物は、昭和初期に建てられた「常盤台写真場」。2階のスタジオには、大きな窓から明るい光が降り注いでいます。一般家庭にまだカメラが十分に普及していなかった当時、めかし込んだ家族がここに立ち、晴れの日の写真を撮ってもらっていたのでしょう。
園の東側、昭和初期の建物で下町をイメージした「下町中通り」に面する文房具店は、「武居三省堂」です。アニメ映画の監督である宮崎駿氏のファンであれば、店内の壁一面を覆う引き出しに、きっと見覚えがあるはず。ここは、宮崎監督の映画『千と千尋の神隠し』に登場する釜爺が働く、ボイラー室のモデルになった場所です。
また、同作品の冒頭に出てくる不思議な街も、「下町中通り」がモデル。「武居三省堂」の二軒隣「丸二商店」の外観にそっくりな建物が、作品に登場しています。
実は、同作品を制作したスタジオジブリが同じ小金井市内にあるということで、宮崎駿監督はたびたび園を訪れ、作品づくりのインスピレーションを得ていたといいます。そんなご縁もあり、「江戸東京たてもの園」のマスコットキャラクター「えどまる」は、宮崎駿監督によって描かれました。
ほかにも、富士山のペンキ絵が美しい「子宝湯」や、勾配のある赤い屋根が目印の「デ・ラランデ邸」、1942年(昭和17年)に建てられたとは信じられないモダンな「前川國男邸」、渋谷駅を起終点として走っていた都電など、園内にはたくさんの見どころがあります。
一つ一つの建物から、かつてそこで暮らしていた人々の息吹が感じられる、「江戸東京たてもの園」。宮崎監督のファンなら、映画『千と千尋の神隠し』の舞台を探しながら園内を巡るのもいいでしょう。子供から大人まで楽しめる「江戸東京たてもの園」に、ぜひ足を運んでみてください。
江戸東京たてもの園
小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)
開園時間 4月~9月 9時30分〜17時30分、10月〜3月 9時30分〜16時30分 ※入園は閉園の30分前まで
定休日 月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は、その翌日)、年末年始
観覧料
一般: 400円(個人)、320円(団体)
65歳以上の方: 200円(個人)、160円(団体)
大学生(専修・各種含む): 320円(個人)、250円(団体)
高校生・中学生(都外): 200円(個人)、160円(団体)
中学生(都内在学または在住)・小学生・未就学児: 無料(個人)、無料(団体)
江戸東京たてもの園 オフィシャルサイト
*この記事は、2017年05月29日に東京都国際交流委員会が運営していたLife in Tokyoに掲載したものです。