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"ちょうどいい"時間が流れる調布・深大寺

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都心から日帰りで行ける穴場スポットをお探しなら、深大寺をおすすめしたい。観光地として脚光を浴びてもおかしくない魅力があふれているにもかかわらず、この周辺を訪れる外国人観光客の数は比較的まだ少ない。

深大寺は、都内では浅草寺に次いで古い寺だが、両者の雰囲気は対象的だ。浅草寺が都会のコンクリートジャングルの真ん中に位置するのに対し、深大寺が建つのは豊かな緑と湧き水に囲まれた静かな郊外。お寺の周りには、隣接する神代 (じんだい) 植物公園のほか、数十件におよぶ地元のそば屋や老舗の陶芸品店が並ぶなど、探索する価値は十分だ。深大寺がある調布市は、東京都西部に位置するが公共交通機関が充実しているので、都心から1時間ほどで着くことができる。

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バスを降りて線香の匂いを追っていくと、深大寺の本堂へと辿り着く。江戸末期の慶応元年(1865年)に起きた火災で、当初の本堂はほとんどが焼き尽くされてしまったが、大正8年(1919年)に再建され、今の姿となった。本堂の西側にある元三 (がんざん) 大師堂では、平安時代の延喜11年(991年)から元三 (がんざん) 大師の木像が祀られている。厄除け大師として信仰される元三 (がんざん) 大師は、2本の角を生やした姿や33体の小さな仏像の姿で描かれることが多いが、薄暗いお堂の中を覗いても大師像は見当たらない。実はこの元三 (がんざん) 大師像、一般には25年に一度しか開帳されておらず、次に拝めるのは2034年なのだそうだ。

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深大寺でもう一つ見逃せないのが、釈迦堂に祀られている白鳳 (ぶつ) の銅像だ。飛鳥時代 (592-710)後半に作られたとされるこの仏像は、江戸末期の慶応元年(1865年)に発生した火災の混乱で、その重要性が一度は忘れ去られてしまったそうだ。しかし、後に再認識され、2017年に国宝に指定された。

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日本人の多くは、深大寺と言えば「深大寺そば」を連想するだろう。かつて、寺周辺の土壌と湧き水は、そばを栽培するのに理想的な環境だった。しかし、1961年の神代植物公園の開園に伴い、広大なそば畑が公園の敷地になってしまったため、そば農家たちは公園にやって来る人々を目当てに、そば屋を開くようになったそうだ。 深大寺の正門である山門 (さんもん) 周辺の通りには木々が生い茂り、和の情緒溢れる昔ながらのそば屋が20軒以上も並んでいる。

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1994年開業の「湧水」は、深大寺周辺では比較的新しい人気のそば屋の1つ。有機そば粉を使用した手打ちそばを提供する、家族経営の店だ。ぜひ注文してほしいのが、海老や野菜の天ぷらと盛り蕎麦がセットになった「湧水天もり」と同店オリジナルの「そばようかん」。「そばようかん」はゼリー状のスイーツで、そば湯をゼラチンで固めた層と小豆餡の層、そば湯にそば粉を加えて固めた層の三層でできている。ルチンが豊富に含まれるそば粉を使ったこのデザートは、甘さも控えた健康的なお菓子だ。

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深大寺の北側に隣接する神代 (じんだい) 植物公園は、植物園としては都内最大規模を誇る。園内に植えられた約4,800種類、10万本の樹木は、種類ごとに分けた30箇所のエリアで栽培されている。春には梅や桜、秋には菊など、一年を通して季節の花が鑑賞できるイベントも開催。毎年5月中旬と10月中旬に開かれるバラフェスタは、約400種、5,200株の薔薇を楽しみに訪れる多くの客で賑わう。

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公園内にある大温室の中には、熱帯や亜熱帯に生息する植物それぞれに適した環境を再現した部屋があり、熱帯スイレンや多肉植物、ランなどの珍しい植物が栽培されている。これらの植物の花は冬でも鑑賞することが可能だ。

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深大寺城跡を含む水生植物園は、深大寺周辺の湧き水が流れ込んでできた沼地で、アシやマコモ、カキツバタなどが生息するのに最適な生態環境になっている。本園である神代 (じんだい) 植物公園から離れた深大寺の南側に位置しているので、見逃さないように気をつけよう。

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お土産探しには、1957年創業の陶芸品店「むさし野深大寺窯」がおすすめ。手頃な価格で陶芸品を販売しているほか、三つの陶芸体験のコースが用意されていて、皿や湯のみ、花瓶、小さな置物など、オリジナルの作品を作ることができる。

もっとも簡単で早く出来上がるのは「らくやきコース」。素焼きされた100種類以上の陶器の中から好きな物を選んで絵付けし、窯で20分ほど焼き上げれば完成だ。もし時間に余裕があれば、より丈夫に焼き上がる「本焼きコース」がおすすめ。約1週間かけて焼き上げるコースで、出来上がったものは日本国内であれば郵送してもらえる。

完全にオリジナルの作品を作りたい人は、粘土を好きな形に成形できる「手びねりコース」に挑戦しよう。このコースでは、完成品が送られてくるまで1ヶ月ほどかかる。

費用は選ぶ陶器やコースによって異なるが、旅先で作る一点もののお土産は、お金には替えられない思い出の品となるだろう。

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深大寺

所在地:182-0017 東京都調布市深大寺元町5-15-1
アクセス:京王線調布駅・つつじヶ丘駅、JR中央線・総武線吉祥寺および三鷹駅からバス運行
参拝無料、ただし白鳳仏の拝観のみ300円
TEL:042-486-5511
URL:www.jindaiji.or.jp

湧水

所在地:182-0017 東京都調布市深大寺元町5-9-1
営業時間:10時30分〜17時
定休日:木曜日
TEL:042-498-1323
URL:www.yusui.co.jp

東京都立神代 (じんだい) 植物公園

所在地:〒182-0017 東京都調布市深大寺元町2・5丁目、深大寺北町1・2丁目、深大寺南町4・5丁目
開園時間:午前9時30分~午後5時(最終入園は午後4時まで)
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日にあたる場合はその翌日)、年末年始(12月29~翌年1月1日)
※2018年10月1日(月)は都民の日により臨時開園及び無料開園日となります。
入園料:一般・大人 500円(団体:400円)
65歳以上 250円(団体:200円)
中学生 200円(団体160円)※都内在住・在学の中学生は無料
小学生以下無料
TEL:042-483-2300
URL:www.tokyo-park.or.jp/park/format/index045.html

むさし野深大寺窯

所在地:182-0017 東京都調布市深大寺元町5-13-6
営業時間:9時〜17時 (陶芸体験は16時まで)
TEL:042-483-7441
URL: http://jindaijigama.com

*この記事は、2018年08月13日に東京都国際交流委員会が運営していたLife in Tokyoに掲載したものです。