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豊かな都市生活を支える「とうきょう林業サポート隊」に密着
高層ビルが建ち並び、多くの人々が行き交う東京。真っ先に大都会のイメージが浮かぶかもしれませんが、東京都の総面積の4割近くは森林が占めています。現在の人間社会と同様に森林の高齢林化が進む今、東京都では伐採、利用、植栽、保育という森林のサイクルを促進させる様々な施策が行われています。その中のひとつが「とうきょう林業サポート隊」です。
「とうきょう林業サポート隊」は、年間を通して植栽や下刈りなどの森林整備作業に携わり、多摩地域の森づくりをサポートするボランティア活動です。毎回多くの申し込みがあるため、参加希望多数の場合、メンバーは抽選によって選ばれます。取材当日も定員いっぱいで、中には高校生や女性の姿もありました。
活動日当日、東京都農林総合研究センターの日の出庁舎に集合後、最初に行われたのは安全管理講習でした。服装などの基本的な注意点に加え、カマの扱い方について丁寧な指導を受けます。また、夏の作業は熱中症対策や虫対策も欠かせません。事前に連絡された活動時の服装や持ち物に従い、皆さん準備万端です。
講習が終わると、スパイク付きの地下足袋や安全靴に履き替えて、いざ出発です。和気あいあいとした雰囲気の中、チームごとに分かれてバスで現場に向かいました。
この日の作業は、植栽した苗木の成長を妨げる草木を刈り取る、下刈りでした。指導員や、何度も参加しているベテランメンバーのサポートがあるので、初心者でも安心です。準備運動をしっかりと行い、早速作業を開始します。
誤って刈らないように、苗木の脇に足を置いて不要な草木をカマで刈り取っていきます。この下刈りは、植栽後5~7年は続けなければならない地道な作業。最初は慣れない手つきだった初心者も、少し続けると動きがスムーズになってきました。急斜面での作業は決して楽なものではありませんが、皆さん楽しそうに作業を進める姿が印象的です。澄んだ空気と目の前に広がる山々の景色が、疲れを癒してくれるのかもしれません。
参加メンバーに話しを伺ったところ、定年後は社会の役に立つことがしたいと参加された方や、個人所有の山の手入れの仕方を学びに来た方など、動機は様々でした。唯一の十代である清水さんは、長野の学校に通う高校生。学校の仲間と地元の人たちを巻き込んで、荒れてしまった近くの山を整備していきたいという気持ちから、技術を習得するために今回初めて参加したそうです。
保水機能をもち、土砂崩れなどの災害を防止する森林は、私たちが生きていく上で必要不可欠な資源です。豊かな都市生活を支える森林を、自分たちの手で守り続けていく――多くの人々の協力のもと、東京都の森林維持活動はこれからも続きます。東京の山を身近に感じながら社会貢献が行える森林ボランティアに、是非参加してみてはいかがでしょうか?
とうきょう林業サポート隊
<問い合わせ先>
公益財団法人 東京都農林水産振興財団
森の事業課 とうきょう林業サポート隊事務局
電話:042-528-0564(9時~17時 ※土日祝日、振替休日、年末年始を除く)
とうきょう林業サポート隊 ホームページ
予約方法:WEB等によるメンバー登録後、参加希望日の申し込みを行ってください。
参加条件:16歳以上の健康な方
活動日:毎週水曜、土曜(毎回各定員12名程度)
活動時間:9時10分 東京都農林総合研究センター日の出庁舎集合、16時解散(昼休憩あり)
*この記事は、2018年07月23日に東京都国際交流委員会が運営していたLife in Tokyoに掲載したものです。