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高円寺の裏通りに佇む多国籍なカフェバー「SUB Store」

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東京に長く住んでいる人でさえ、迷子になりそうな裏通り。仕事帰りのビールや読書を楽しむのに絶好の隠れ家的な店が立ち並んでいるが、毎日 (とお) りかかってはいても、足を踏み入れたことがあるという人は少ないかもしれない。

都会のオアシスのような魅力を持つこれらの小さなカフェやバーには、窓がないことさえある。中の様子が分からない店に、誰かの紹介なしに入るのはなかなか難しい。

しかし、こうした隠れ家的な店こそ東京の文化の担い手の一つであり、個性的な魅力を持つこれらの店を探索しないという手はない。今回は、高円寺にひっそりと佇むカフェバーの一つを覗いてみた。

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東京の西側、サブカルチャーの中心である中野と阿佐ヶ谷に挟まれた高円寺に店を構える「SUB Store」。ライブミュージックとストリートアート、それに美味しい料理が同時に楽しめるこのカフェバーは、独特の個性をもつ街、高円寺にいかにも似つかわしい。駅から目と鼻の先にある、ライブハウスや小劇場がひしめく地区にオープンしたこの店は、東京に数ある密かな人気店と同様に、オーナーのセンスが光るインテリアで客を迎える。

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昭和レトロなフィギュアの合間に見えるのは、現代の日本の路上アートや音楽のポスターだ。オーナーのアンディカ・ファイサルさんは、インドネシア出身。よく見ると、伝統的なインドネシアのアートが、店内を彩る他のアートによく溶け込んでいる。日本のファッション業界で活躍したアンディカさんは、新しいことにチャレンジしようと、奥さんと共にSUB Storeを立ち上げた。店がオープンしたのは2016年3月。休みの日に通いたくなるような場所を提供したいという思いでスタートしたそうだ。

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オープンから二年、店はカフェバーだけではなく、 入れ替え制のアートギャラリーも兼ねるようになった。展示するのは、国籍を問わず同じようなスタンスで活躍するクリエーターの作品だ。レコードのターンテーブルにライブイベント、店内にはいつも音楽があふれている。客は幅広いジャンルのレコードコレクションを眺めるだけでなく、好みのレコードを自由に聞くこともできる。

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SUB Storeの「SUB」は「Small・Unique・Bookstore」の頭文字。文字通り、"小さな個性的な本屋"として出発した。レコード同様、客は店内で選んだ本を手に、のんびりとコーヒーやドリンクを楽しむことができる。店に置かれているレアで、アーティスティックで、サブカルチャー的な本の中に、気に入ったものがあれば購入することも可能だ。高層ビルの谷間に、誰にでも開かれた自由で多彩な文化が息づく街、東京。SUB Storeのバラエティに富んだ本の品ぞろえこそが、東京の"今"を象徴しているのかもしれない。

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もちろん、SUB Storeでは食事も楽しめる。世界中のクラフトビールから日本酒まで豊富に取りそろえられたドリンクに、オーナーの出身国である本場のインドネシア料理から多国籍料理にいたるまで、ここでしか味わえない特別な料理を頂くことができる。SUB Storeで体感できる文化の幅広さは、食にも及んでいるのだ。

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高円寺の"今"を味わいに、SUB Storeを訪ねよう。また東京のどこであれ、日頃から気になっていたカフェやバーに、思い切って入ってみよう。そこには、思いがけない出会いが待ち受けているかもしれない。

 

SUB Store

住所:〒166-0002 東京都杉並区高円寺北3丁目1-12
営業時間:午後3時~午前0時
定休日:毎週火曜日
TEL: 080-3496-3883
SUB Store ホームページ

この記事はサミュエル・トーマスが執筆しました。

*この記事は、2018年05月28日に東京都国際交流委員会が運営していたLife in Tokyoに掲載したものです。