生活の役に立つ情報

東京を楽しむ

出かける

昔ながらの街道文化を守る品川宿

shinagawashuku_20180204_12.jpg

江戸時代、徳川幕府の将軍が暮らす江戸と、天皇の住まいがあった京都を結ぶ主要道路として栄えた東海道。その道沿いには、宿屋や茶屋を有する53の宿場と呼ばれる町がありました。街道を行き来する人たちで活気づいていたこれらの宿場町は"東海道五十三次"と呼ばれ、浮世絵画家、歌川広重により描かれたことでも有名です。今では大阪の守口宿 (じゅく) までを含めて、東海道五十七次ともいわれています。

shinagawashuku_20180204_13.jpg

shinagawashuku_20180202_9.jpg

東海道五十三次の江戸側の起点である日本橋を出発し、ひとつ目の宿場町が品川宿です。品川駅といえば新幹線や在来線が行き交い、駅周辺は高層ビルが立ち並ぶ地域ですが、"旧東海道品川宿"と呼ばれる北品川から青物横丁あたりには、かつての宿場町の名残を感じさせる昔ながらの街並みが広がっています。これは、町会や商店街、地元の企業や行政などが一体となって歴史や文化を守る景観整備を行ってきたためで、現在は20年後、30年後をイメージした街づくりの計画も進んでいるそうです。今回は、そんな品川宿の気になるスポットをご紹介します。

shinagawashuku_20180204_15.jpg

shinagawashuku_20180202_1.jpg

『品川宿交流館』は、観光案内所と貸しギャラリー、多目的スペースに、駄菓子屋さんを併設した複合施設で、子どもからお年寄りまで、さまざまな人が訪れます。外国人のお客さんはもちろん、ときには大きなリュックを背負い、京都から東海道を歩いてきた人が立ち寄ることも。駄菓子屋『またあした』を切り盛りする佐藤さんは、地域の子どもたちを見守るみんなのお母さんのような存在です。

品川宿交流館/駄菓子屋 またあした

住所 品川区北品川2-28-19
電話 03-3472-4772
営業時間 10時~17時(閉店時間は前後する可能性があります)
定休日 毎週月曜(月曜日が祝日の場合は翌日)

 

shinagawashuku_20180202_2.jpg

shinagawashuku_20180204_14.jpg

『街道文庫』の店主である田中さんは、知る人ぞ知る街道歩きのプロフェッショナル。全国の街道を巡りながら、街道の歴史や建築にまつわる本を集め、ついには古書店、兼"街道歩き相談承り処"をオープンしました。「街道にはあらゆる歴史が詰まっている」をモットーに、休日は街歩きのガイドも務めています。蔵書は旅先で買い集めた田中さんの宝物 (たからもの) なので、古書店と言ってもあまり売る気はないのだそう。

街道文庫(街道歩き相談承り処)

住所 品川区北品川2-6-12 ハイツ品川101
電話番号 03-6433-0349
定休日 不定休

 

shinagawashuku_20180202_8.jpg

shinagawashuku_20180202_7.jpg

子育て中のお母さんたちを応援する様々な取組みが行われているのも、品川宿の魅力です。『品川宿 いどばた』は、ママと小さな子どものための憩いの場。週2日、ランチタイムにオープンする「いどばた食堂」でゆっくりと食事を楽しめるほか、親子で参加できる講座やワークショップ、イベントもたくさん開催されています。近くには「自分の責任で自分で遊ぶ」をモットーにする"プレーパーク"と呼ばれる公園も。子どもの安全を見守るスタッフ"プレーワーカー"が、 子どもたちが自由に遊びを作り出していくのを手助けしてくれます。

品川宿 いどばた

住所 品川区北品川2-3-20
電話番号 090-2459-4117
営業時間 いどばた食堂/毎週木曜、金曜(祝日を除く)11時~15時
品川宿 いどばた ホームページ

 

shinagawashuku_20180202_4.jpg

shinagawashuku_20180202_3.jpg

歩き疲れたら『KAIDO books & coffee』でひと休み。『街道文庫』の本を委託販売している2階では、田中さんが集めた貴重な本を読みながら、厳選されたコーヒーを頂くことができます。東海道の最初の宿場町である品川から旅に出てもらおうというコンセプトのもと、自治体や大使館とコラボレーションしてイベントや展示を行うこともあるそうです。

KAIDO books & coffee

住所 品川区北品川2-3-7 丸屋ビル 1F
電話 03-6433-0906
営業時間 [月~金] 10時30分~22時、[土・日・祝] 10時30分~19時
定休日 火曜日
KAIDO books & coffee ホームページ

 

shinagawashuku_20180202_6.jpg

shinagawashuku_20180202_5.jpg

清美荘という昔ながらのビジネスホテルを改装して作られたのが、観光案内所も務める『ゲストハウス 品川宿』。英語対応もするため、海外からの観光客も多いのだそう。壁に貼られたカードや手紙には、訪れた人たちからの感謝のメッセージで溢れていました。

ゲストハウス品川宿

住所 品川区北品川1-22-16
電話番号 03-6712-9440
チェックイン 16時00分~22時00分、チェックアウト 7時00分~10時00分
ゲストハウス品川宿 ホームページ

 

shinagawashuku_20180202_10.jpg

shinagawashuku_20180202_11.jpg

去年の秋にオープンしたばかりの『SURUTOCO』は、自分でシルクスクリーン印刷ができる作業場です。インクや素材により様々なものにプリントすることができるため、オリジナルのイラストを製版して印刷すれば世界にたったひとつのアイテムが完成。素材は持ち込むこともできますが、無地のトートバックやTシャツなどは購入することもできます。

SURUTOCO

住所 品川区北品川2-28-15 紀伊国屋ビル2F
TEL 03-6718-4522
営業時間 11時~19時
定休日 水曜日
SURUTOCO ホームページ

shinagawashuku_20180307_1.jpg

shinagawashuku_20180307_2.jpg

お土産には是非、品川宿自慢のお菓子を。『品川菓匠 (かしょう)  孝庵』の名物、宿場ロールの味は抹茶、バニラ、チョコの3種類。和菓子が好きな人は、明治25年創業の『御菓子司 (おんかしつかさ)  木村 () 』へ。みたらし団子を食べながら散策を楽しむのも一興です。

品川菓匠 孝庵

住所 品川区北品川2-30-27-1F
TEL 03-3471-6395
営業時間 9時30分~20時
定休日 火曜日
品川菓匠 孝庵 ホームページ

御菓子司 木村家

住所 品川区北品川2-9-23
電話番号 03-3471-3762
営業時間 8時30分~18時30分
定休日 水曜日

4月には熱気球の体験や骨董市が開かれる『しながわ運河まつり』、6月には神輿でにぎわう品川神社と荏原神社の例大祭、9月には江戸時代の仮装やおいらん道中を見ることができる『しながわ宿場祭り』...と、年間を通して様々なお祭りが催される品川宿。去年からは、若い作り手たちが中心となって立ち上げた、ドキュメンタリー映像とトークのフェスティバル『ドキュ・メメント映画祭』も始まりました。年長者と若者が協力し、街道文化を守り続ける品川宿。そこには、時間と人とが作り上げた、温かくて懐かしい街並みが広がっています。
*この記事は、2018年03月12日に東京都国際交流委員会が運営していたLife in Tokyoに掲載したものです。