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池袋防災館の防災体験ツアーで「防災」を学ぶ

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地震大国と呼ばれ、これまで多くの地震災害に見舞われてきた日本。この国で暮らしていくには、地震やその他の災害に対する知識を身につけ、いざという時に冷静な判断と対応ができるように備えておくことが欠かせない。 東京消防庁が運営するこの施設では、防災について学び、体験することができるツアーを無料で提供している。参加したツアーは「消火」「煙」「地震」の3つコーナーのシミュレーションを体験するのに加え、東日本大震災の映像を視聴するという流れ。一回目は朝9時半のスタートにも関わらず、外国人観光客の姿が数多く見られた。元消防職員のインストラクターから、消火器の正しい使い方や火事が起きた際の避難方法、地震発生時にはどのようなことが起き、またその際にどう行動したらよいのかについて学んだ。

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最初に訪れたのは「消火」のコーナー。消火器の構造や使い方について学んだ後、参加者は実際に消火器を扱う練習をした。正面のスクリーンに炎の映像が映し出されると、まずは「火事だー!」と叫んで周囲に知らせる。次に消火器の取っ手を持ちながら安全ピンを抜き、ホースの先端を炎に向けてレバーを握る。ここで注意する点は、炎の端を目がけるのではなく火元を狙うということ。また、消火器はほんの数十秒しか使えないため、火が小さいうちは有効であるが、いったん炎が大きくなってしまったら自力での消火を諦め、速やかに避難することが重要だ。日本では、119番をダイヤルすれば消防隊が駆けつけてくれる。

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次の「煙」のコーナーでは、火災発生の際に建物内にいた場合、どのように避難したらよいかをアニメ動画で学習する。煙は高いところへ昇るので、まずは姿勢を低くして鼻と口をハンカチなどで覆うことが大切だ。煙が室内に充満して視界が悪い場合は壁伝いに進み、非常口のサインを手がかりに出口へ向かう。扉の向こう側でも火災が発生している可能性があるため、手の甲でドアの温度を確認し、様子を見ながら少しずつ開ける。万が一、建物の中に誰かが取り残されてしまっても、自力で助けようとせず、消防隊に任せることが勧められている。

動画で学んだことを復習するため、参加者はグループに別れて迷路のような体験コーナーに入った。火災発生の警報が鳴ると避難訓練がスタート。薄暗い空間に煙と炎が再現される。入り組んだ通路の先には () き止まりもあるが、非常口のサインを手がかりに進めば、さほど時間をかけずに脱出できる。冬は特に空気が乾燥していて火事になりやすいので、仮に災害などで自宅から避難する場合には、暖房器具や電化製品の電源がオフになっていることを確認することが大切だ。

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次にやってきたのは「地震」のコーナー。地震が起こるメカニズムや事前に備えておくべきこと、揺れが発生した際に取るべき行動について、大きなスクリーンに映し出される映像から学んだ。さらに地震体験装置で、東日本大震災で被災地である東北地方の人々が見舞われたのとほぼ同じ、震度7の横揺れを体験した。室内では、テーブルの下に潜って机の脚の上部を掴み自分の身を守ること、外にいる場合は落下物や倒壊物に気をつけ、カバンなどで頭部を守ることを勧められた。また自宅では、棚などが倒れる可能性があるので、あらかじめ家具を固定しておくことが望ましい。

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最後に東日本大震災の映像を観て、1時間40分に及ぶ防災体験ツアーは終了した。ツアー中に上映される映像には、英語の字幕または吹き替えが用意されているが、インストラクターによる案内は日本語のみとなるため、外国人の団体の場合は通訳を同行すると良いだろう。ツアーでは4つの体験コーナー(地震、煙、消火、応急救護又は防災ビデオ)をまわることができるが、2つのコースだけを回る50分のショートコース(地震、防災ビデオ)もあるとのこと。なお、地震体験は3歳以上、消火体験は小学4年生以上、応急救護体験は小学5年生以上という年齢制限があるため、子ども連れの場合は注意したい。また、119番通報の練習や防災に関するゲームなどを行うことができる自由見学コーナーもあるため、ツアーに参加しなくても楽しむことができる。

池袋防災館では年齢を問わず、誰もが防災について学ぶことができるように工夫されている。ただし団体で訪れる場合は予約が必須のため、事前に電話でツアーの空き状況を確認した方が良いだろう。

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池袋防災館

住所:〒171-0021東京都豊島区西池袋2丁目37番地8号4階
交通:池袋駅(西口・メトロポリタン口)から徒歩5分\
開館時間:午前9時から午後5時まで、体験コーナーの最終受付は午後4時15分
ツアー時間:午前9時30分〜午前11時10分、午後1時〜午後2時40分、午後3時〜午後4時40分
ショート:午前11時10分~午前12時
休館日:火曜日・第3水曜日(国民の祝日に当たる場合は翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)
入場料:無料
東京消防庁サイト:www.tfd.metro.tokyo.jp
池袋防災館サイト:https://tokyo-bskan.jp/bskan/ikebukuro/
TEL: 03-3590-6565(休館日を除く9時~17時)
FAX: 03-3590-6843

*この記事は、2018年02月26日に東京都国際交流委員会が運営していたLife in Tokyoに掲載したものです。