Tokyoらいふ
東京の水道水
*この記事は、東京都国際交流委員会が運営していたウェブサイトに掲載したものです。
仕事仲間の豊さんに誘われ、奥多摩のトレッキングコースで山歩きを楽しむファビオさん。木陰に腰を下ろしてひと休み、渇いた喉を潤します。

ファビオ
あぁ、水がおいしい!体全体に染みわたっていくみたいだ。
豊
たくさん汗をかいたからね。ところでファビオさんは、いつもミネラルウォーターを飲んでいるの?
ファビオ
ええ、サンパウロでもずっとミネラルウォーターを買って飲んでいたし、日本に来てからもそうしていますよ。豊さんは違うんですか?
豊
僕がいま飲んでいるのは水道水だよ。マグボトルに水道の水を入れて、家から持ってきたんだ。
ファビオ
えっ!東京の水道の水って、そのまま飲めるんですか?
豊
東京の水道水は世界でもトップレベルの安全な水だよ。よかったら、ちょっと飲んでみて。味だって悪くないって評判なんだから。
ファビオ
うん、本当だ。ミネラルウォーターにも負けていないですね。
豊
実は、いま僕たちがいる奥多摩の森は、東京の水道水源林の一部なんだよ。東京都の水道局では、多摩川の上流域に広がる広大な森林を100年以上前から管理しているんだ。
ファビオ
森に落ちた一粒の雨が集まって川になり、長い旅をして蛇口までやってくるわけだから、安全でおいしい水を届けるためには、森林を適切に管理して水源地の環境を守ることが大切だということですね。
豊
その通り。東京の水道水が安全でおいしい秘密は、さらに浄水の技術にもあるんだよ。東京都の浄水場では通常の浄水処理に加えて、水の味を悪くするにおいのもとを取り除くことができる「高度浄水処理」を導入しているんだ。
ファビオ
へえ、すごいな。
豊
かつて東京の水道水は、急激な工業化や都市化による水質の悪化のせいで、とてもまずくて飲めないと言われていたんだ。でも、高い浄水技術を完成させたことで、東京の水は生まれ変わったんだよ。
二人は再び歩きながら、話を続けます。
ファビオ
災害が起きたときに備えて、1人1日3リットルの飲み水を3日分用意しておくようにと言われているでしょう?僕はペットボトルの水を買って常備しているんですが、豊さんはどうしていますか?
豊
僕は、水道水をくみ置きしておいているよ。
ファビオ
くみ置きした水って、すぐにダメになってしまいそうな気がするけれど…。
豊
直射日光を避けて常温で保存すれば3日間、冷蔵庫に入れておけば10日間は大丈夫だよ。ただし、浄水器を通したり、沸かしたりはしないこと。消毒用の塩素が抜けてしまうからね。
ファビオ
なるほど、わかりました。
豊
それから、できるだけ空気に触れないよう、容器の口元いっぱいまで水を入れて蓋をするといい。
ファビオ
ところで、しばらくは自分で用意しておいた水でしのぐとして、断水が続いたときにはどうすればいいんでしょうか?
豊
そういうときは、ポリタンクやペットボトルを持って、「災害時給水ステーション」へ行けばいい。東京都水道局では、都内に200以上の「災害時給水ステーション」を整備しているんだ。おおむね半径2kmの範囲内に1カ所、給水ステーションが設けられることになっているんだよ。
ファビオ
それを聞いて、安心しました。早速、自宅や会社近くの給水ステーションの場所をチェックしてみようと思います!