Tokyoらいふ
おしゃれで便利な日本手ぬぐい
*この記事は、東京都国際交流委員会が運営していたウェブサイトに掲載したものです。
ホストファーザーの達雄さんと浅草の演芸場にやって来たシェリルさん。落語好きの達雄さんと一緒に、初めて生で落語を楽しみました。

シェリル
落語は聞いて楽しむものだと思っていたけれど、見て楽しむものでもあるんですね!生き生きとした表情や仕草、それに小道具の使い方も。
達雄
一本の扇子がいろいろなものに早変わりして面白いだろう?そばを食べる箸になったり、手紙を書く筆になったり。
シェリル
それから、あの大きなハンカチみたいなものも、財布になったり手紙になったりしていましたね。
達雄
あれは「日本手ぬぐい」っていうんだ。落語だけでなく、歌舞伎や日本舞踊でも欠かせない小道具なんだよ。
シェリル
日本手ぬぐいが使われるのは、舞台の上だけですか?
達雄
いやいや、手ぬぐいは本来、手を拭いたり汗をぬぐったり、お風呂で体を洗ったりするためのもので、かつての日本人にとっては生活必需品だったんだ。ハンカチやタオルが一般的になった今でも、薄くてすぐに乾くところがいいと愛用している人もいるんだよ。実は、私もいつも持ち歩いているんだ。ほら。
シェリル
あら、本当だ!
達雄
手ぬぐいは水気をぬぐうだけでなく、日よけや埃よけとして頭に被ったり、鉢巻にしたりもするんだよ。ほかにも、首に巻いたり、ものを包んだり。
シェリル
鉢巻はお祭りの時に見たことがあります。
達雄
拭く、被る、装う、包む。手ぬぐいは、いろいろな用途に使える実用品でありながら、色や柄のバリエーションがとても豊富だから、最近では、額縁に入れてインテリアとして楽しむ人も増えてきているようだね。近くに手ぬぐいの専門店があるから、ちょっと覗いてみようか。
二人は手ぬぐいの専門店にやって来ました。
シェリル
すごい!和柄からモダンでポップなものまで、たくさんありますね!
達雄
この辺りに並んでいるのが古典的な柄だね。こういう柄を紋様と言うのだけれど、シェリルさんが見たことのあるものはあるかな?
シェリル
この魚のウロコみたいな、波みたいな模様は見たことがあります。
達雄
それは「青海波」と言ってね、海の穏やかな波を表しているんだ。平穏な世の中がいつまでも続きますように、という願いが込められているんだよ。
シェリル
じゃあ、こっちの柄は?達雄さんの家の座布団の柄に似ていますね。
達雄
これは「麻の葉」という紋様だよ。すくすくと伸びる麻の木にあやかって、赤ちゃんの健やかな成長を願うものなんだ。
シェリル
いろいろな意味があるんですね。この絵と文字を組み合わせた柄も素敵!
達雄
それは「かまわぬ」と読むんだ。まず、鎌(かま)と輪(わ)っかの絵があって、最後にひらがなの「ぬ」があるでしょう?だから「かまわぬ」。江戸時代後期の歌舞伎役者・七代目市川團十郎が愛用した紋様として広く知られるようになったんだよ。
シェリル
とてもおしゃれだと思います。
達雄
もうひとつ、手ぬぐいは名刺がわりに使われることもあるんだよ。落語家が自分の名前や紋を入れたオリジナルの手ぬぐいを作って、日頃お世話になっている人たちやこれからお世話になる人たちに配ったりするんだ。
シェリル
いいなぁ。私も自分だけの手ぬぐいを作りたいです!
達雄
よし!じゃあ、お互い好きな柄を選んで、名前を入れてもらおうか。