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シュエガンゴの会 ~日本で暮らすミャンマーの子どもたちが、自分の母語や文化を大切にしていけるように~

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「シュエガンゴの会」代表のチョウチョウソーさん。日本語教育を行う任意団体VILLA EDUCATION CENTER(VEC)の副会長や、NPO法人ミャンマー日本教育のかけはし協会の代表も務めています。

日本に暮らすミャンマー人が増加する中、幼少期に日本に来たり、日本で生まれ育ったりしたために、ミャンマーの言語や文化をあまり知らない子どもが増えています。「シュエガンゴの会」では、そのような日本に住むミャンマールーツの子どもたちに向けたミャンマー語教室やイベントの開催を通して、子どもたちにミャンマーの言語や文化を伝えています。会の代表を務めるチョウチョウソーさんにお話を伺いました。

 

 

黄金に輝く花のような、子どもたちのために

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子どもたちは絵本や教科書を使ってミャンマー語を学びます。
写真提供:シュエガンゴの会

日本に住むミャンマールーツの子どもたちにミャンマー語やミャンマーの文化・伝統を伝えるため、2014年にチョウチョウソーさんが夫婦で立ち上げたシュエガンゴの会。現在は31名のメンバーによって運営されています。
「日本にいる子どもたちは、日本人の友達と遊んだり勉強したりしているので、ミャンマーの言語や文化に触れる機会が家庭以外にほとんどありません。これは将来的に課題になると感じました。子どもたちにミャンマーの言語や文化に親しんでもらうとともに、自分と同じルーツの人たちがいるということを知ってほしくて、会を立ち上げました。こうした活動は元教員の妻の夢でもあったんです」と、チョウチョウソーさん。

高田馬場でチョウチョウソーさんが経営するミャンマー料理のレストラン「ルビー」の近くの教室で毎週土曜日に行われるミャンマー(ビルマ)語教室には、3〜11歳の子どもたちが参加しています。Facebookの投稿や口コミで会の情報が広がり、教室はいつもいっぱいです。

 

「シュエガンゴの会」という団体名に入っているシュエとはミャンマー語で「金」、ガンゴとはミャンマーで有名な花の名前を指します。「ミャンマーの人たちは金が好きで、名前にもよく付けます。ガンゴは春に咲く、香りのいい花です。ミャンマーでは子どものことをよく花に例えます。これから美しい未来を咲かせる花です」と、チョウチョウソーさん。

家族を繋ぐ、言語の継承

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一年に一度、学びの成果を披露する「学習発表会」も行われます。
写真提供:シュエガンゴの会

ミャンマー語教室では3〜6歳の子どもに向けた、文字の読み方・書き方の基礎クラスと、7歳以上の子どもたちが文法などを学ぶクラスが用意されています。週に1回のクラスでもミャンマー語をきちんと学べるよう、先生たちで厳選した内容を教えます。子どもたちへの指導とともに、子どもの両親に対しては家庭内でできるだけミャンマー語を使って話すよう、伝えます。
「両親が家でミャンマー語を使うと、子どもはミャンマー語が話せなくても、理解できるようになります。頭の中に両方の言語がある子だと、先生とはミャンマー語で、子ども同士は日本語で話すこともあるんですよ」と、チョウチョウソーさん。

 

ここでミャンマー語を習った子の中には、実際にミャンマーに行きたがる子もいたといいます。
「自分は喋れる、という自信がついたんだと思います。実際にすぐミャンマーに行くことは叶いませんでしたが、ミャンマーにいるその子の祖父母とオンラインで繋ぎ、ミャンマー語で話す機会を作りました」と、チョウチョウソーさん。言語の継承は、国境を越えて、家族を繋ぎます。

伝統的なイベントを通して、ミャンマーの文化を伝える

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ミャンマーの伝統的な祭り「ダディンジュ」で、子どもたちが提灯を作りました。
写真提供:シュエガンゴの会

シュエガンゴの会は、言語だけでなく、ミャンマーの文化や伝統を子どもたちに伝える活動もしています。
10月半ばに行われるのは、ミャンマーの伝統的な祭り「ダディンジュ」です。提灯やキャンドルに火を点け、天から地上に降りてくるお釈迦さまを迎えます。そして、親や先生など、自分が普段お世話になっている人への感謝と敬意を伝える日でもあります。
「この日は、お世話になっている人に1年の間にやった悪いことを“許してください”と言いに行きます。言われた人は“許しているよ”と伝えます。このイベントに参加することで、目上の人を敬い、何かあっても許し合うミャンマーの文化を、子どもたちにも知ってもらいたい」と、チョウチョウソーさん。子どもたちは伝統衣装を身につけて、みんなでミャンマーの料理を食べます。

 

日本では1月がお正月ですが、ミャンマーのお正月は4月です。3日間、一年間の悪いことを洗い流すという意味を込めて、町中 (まちじゅう) に水がまかれ、歌やダンスを楽しみます。シュエガンゴの会でも子どもたちがバケツやカップで水をかけ、新年を祝います。また、モンロンイェーポーという甘い黒砂糖を入れたお団子を作り、ココナッツフレークを掛けて食べます。子どもたちが、レストラン「ルビー」の前でお菓子を配っていると、通りがかった近所の人たちも集まってくるそうです。

大きくなったときに、またミャンマー語を学びたいと思えるように

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料理のイベントは子どもにも大人にも人気です。
写真提供:シュエガンゴの会

子どもたちはシュエガンゴの会で単に言語や文化を学ぶだけでなく、自分のアイデンティティを確かめたり、同じルーツの人たちとの繋がりを感じたりすることができます。
「ミャンマーの言語や文化は、日本社会で生活する中で使う機会は少ないかもしれませんが、ミャンマーのルーツを持つ自分のアイデンティティとして、必要だと思うんです。子どもたちには自分のルーツとして、最低限知っておいてほしいなと思います。そのための環境を作るのは、私たち大人たちの責任ですよね」と、チョウチョウソーさん。

 

日本社会で生活していく中で、子どもたちはどうしても日本語に触れる時間の方 (ほう) が多くなっていきます。日本での生活が長くなるにつれ、ミャンマー語を話せる子どもが減っていくことに対し、チョウチョウソーさんは次のように話します。
「大きくなるにつれて、ミャンマーの言語や文化に対する興味がなければ、子どもたちはどんどん忘れていってしまいます。ここで過ごした時間や思い出が、子どもたちにとって言語や文化を学び、ミャンマーと繋がり続けるためのモチベーションになってくれたらいいなと思うんです」。

日本社会で共に暮らしていくために

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チョウチョウソーさんがオーナーを務めるレストラン「ルビー」には、毎日多くのミャンマー人が足を運びます。そうした一人ひとりに声をかけるチョウチョウソーさんの元には、困りごとを抱える同胞の仲間たちが日々集まります。

10年以上続くシュエガンゴの会ですが、助成金などを活用しながら今後さらに教室を大きくし、より多くの子どもたちが学べる場を作ろうと考えているそうです。また、子どもたちの親の日本語学習機会についても課題を感じ、自身が副会長を務める別団体 Villa Education Centerで日本語を学習する機会を提供しています。
「近年、日本に来るミャンマー人の家族が増えています。子どもはもちろん、その親も、日本社会で暮らしていくためには、この国の文化や生活習慣を理解すること、そしてやはり日本語を習得することが大切です。そして、外国人として日本で生活していると、自分だけでは解決できないトラブルも起こります。そうしたときのために、同じように日本で暮らすミャンマー人に加え、職場や近所の日本人と知り合い、助け合える関係を築いておく必要があると思うんです」と、チョウチョウソーさん。

そのため、シュエガンゴの会では、ミャンマー人と日本人の交流の場も提供しています。
ミャンマーで2月に行われる「タマネ祭り」という行事は日本の「餅つき」に似たもので、もち米 (ごめ) に生姜やピーナッツ、ゴマ、塩、砂糖、ココナッツなどの具を入れて、混ぜ合わせた「タマネ」を作って食べます。シュエガンゴの会では子どもたちだけでなく、チョウチョウソーさんの知り合いの日本人や、日本人大学生、近所の人なども参加する人気のイベントです。
「こうしたイベントが、交流のきっかけになったらいいですよね。何かあったときに助け合えるように、近所の人とあいさつを交わすなど、外国人も日本人も、お互いに歩み寄ることが多文化共生だと思います」。

 

30年以上日本に暮らすチョウチョウソーさんは、複数の団体でのさまざまな活動を通して、ミャンマーと日本の大切な架け橋となっています。

 

*本記事は取材時点での情報をもとに作成しています。最新の情報については、取材先へ直接お問い合わせください。