研修・イベント
令和7年度「日本語学習支援者スキルアップ研修」開催レポート
東京都つながり創生財団では、地域の日本語教室で中核的に活動する支援者等を対象に、「日本語学習支援者スキルアップ研修」を実施しました。
本研修は、国や東京都の動向および教室運営に関する知見を共有し、グループワークを通して教室運営に必要な力を養うことを目的としています。
対面での開催を通じ、支援者同士の情報交換やネットワーク形成も促進しました。
研修概要
日程:2025年11月4日(火)・6日(木)
会場:新宿NSビル3階会議室
講師:嶋田和子氏(アクラス日本語研究所 代表理事)
参加人数:30名
1日目
冒頭で研修の目的を共有した後、嶋田先生の講義により「日本語教育の推進に関する法律」「日本語教育の参照枠」「国の求める人材像」などを整理し、地域日本語教育の現状を概観しました。
午後は「教室づくりの課題に向き合おう」をテーマに、過年度受講者から出た日本語教室が抱える課題を基に意見を交換するグループワークを実施しました。
「学習者の継続」「支援者の定着」「交流機会」「やさしい日本語の活用」など、教室が直面しやすい課題を共有し、改善の糸口を探りました。
2日目
2日目は、「自分の教室を振り返ろう」をテーマにしたグループワークから始めました。
その後、目黒区国際交流協会の北爪氏より「日本語教室におけるコンセプトづくり」というテーマで、教室コーディネートの実践事例の紹介があり、現在の教室になるまでの変化、特に、課題を解決するための具体的な工夫等が共有されました。
続く嶋田先生の講義では、北爪氏の事例を振り返った後、「教室をどのようにデザインするか」という視点でお話がありました。
午後はグループワーク「日本語教室をつくろう」を実施し、“学習者も支援者も参加しやすい日本語教室”を共通のテーマにどんな日本語教室をつくりたいかをグループごとに話し合い、模造紙に教室の理念や工夫をまとめ発表しました。
参加者の声(一部抜粋)
- 日本語学習支援の醍醐味は『異なる考え方や価値観を持つ人同士が意見の交換をし、他者理解、自己理解が深まり新たな価値観を想像すること』という嶋田先生の言葉が印象的だった。
- グループワークを通じ、『違いをもつ人が集い対話することで生まれるもの』を実感できた。
- 他の教室の取り組みを知り、担当者同士がつながるきっかけになった。
- 国や都の状況を改めて理解し、地域ボランティアとしての目標が明確になった。
おわりに
2日間の研修を通して、参加者の皆さんが講師の熱意や実践に触れ、グループワークで互いの考えを交換し合うなかで、表情や発言が少しずつ変化していく様子が見られました。
また、最終日のグループワークで作成した「コンセプトのある教室」について、参加者から「この教室を実際にやってみたい」という声が聞かれました。
事務局が想定していた以上の成果であり、本研修が教室づくりについて考えるきっかけになったと感じています。
by MN