地域日本語教室
vol.5 HATI JAPAN(中野区)
第5弾は、中野区鷺宮地域で活動されている「特定非営利活動法人HATI JAPAN 多文化多言語の子ども発達支援 (以下、HATI JAPAN/ハティジャパン)」をご紹介します!
中野区の外国人住民は令和4年12月1日時点で18,322人(区調べ)、区の全人口に占める外国人住民の割合は5.5%です。区部の外国人人口平均20,688人(都調べ)より少ない人口ではありますが、中野区の外国人人口は増加傾向にあります。
特に鷺宮地域は地価や物価が手ごろで、西武新宿線で新宿に出られる利便性の高さから、外国人住民が徐々に増えている地域です。
そんな中野区鷺宮地域でどのような活動をしているのか、代表の東谷さんとプロジェクトリーダーの久保さんにお話を伺いました。
HATI JAPANでは現在、
ぷらすひろば 第1・第2土曜日 午後2時~午後3時30分
げつよう②④ひろば 第2・第4木曜日 午後4時~午後5時30分
で主に外国にルーツをもつ子どもたちや保護者の居場所づくりを行っています。
参加する子どもは幼児~小中学生で、多い時には10名以上集まります。見学させていただいた日は、近所に住む中国、インドの方が来ていました。
地域の「居場所」づくりをめざして
2022年4月、HATI JAPANは地域の居場所づくりをめざし、鷺宮地域での活動を始めました。中野区社会福祉協議会から「鷺宮地域で、外国人の方を含めた地域の人の居場所づくりをしませんか?」とお誘いを受けたことがきっかけだったそうです。
鷺宮地域へ移転前は上高田に事務所があったそうです。当時、東谷さんが子どもたちにどこから来ているか尋ねてみたところ、鷺宮地域から自転車や電車で通っていると答える子どもたちがちらほら...。鷺宮地域は区役所や様々な商業施設が立ち並ぶ中野駅前の地域とは異なり、様々な面で福祉の手が届きにくいのかもしれない...、と東谷さんは感じたそうです。
立ち上げに際しては、中野区社会福祉協議会をはじめ、中野区国際交流協会などの地域活動団体とも連携したとのこと。いわゆる机に向かって勉強するような日本語や教科の学習は地域の諸団体によって行われていることもあり、HATI JAPANでは、地域の居場所となることを主眼に置きつつ、その中で学習支援を行なっていくことにしました。ゲームや体を動かす遊びの中で、他の子どもとかかわりあい、順番を守ること、遊んで負けても怒らないなどの社会性も育っていくように支援しています。
教室の様子
今回は、「げつよう②④ひろば」を見学させていただきました。
活動時間は、年齢に応じた遊びができる時間とみんなで遊ぶ時間、そして絵本の読み聞かせを聞く時間の3つがうまく組み合わさっています。その日は、新しい取り組みとして、模造紙に絵を描く「せいさく」という時間がありました。
大きいクリスマスツリーを描いて黙々と色を塗ったり折り紙で飾ったりする子どももいれば、カレーの絵を描きながらお店屋さんごっこのようなことをしている子どももいました。両手にクレヨンを持ち、寝転がって大きく体を動かしながら、はつらつと自由に描いている姿もありました。
また、模造紙で大きな紙飛行機を作っている子どももいました。遠くまで飛ぶように何度も折り目や飛ばし方を変え、工夫している様子は非常にほほえましかったです。
活動の間、東谷さん、久保さん、ボランティアのみなさんは、子どもたちがどのように過ごしていたのか、子ども同士がどのようなやりとりをしていたのかなどを、つぶさに観察していました。例えば、使いたい色のペンやはさみの貸し借りの場面では、「貸して」「いいよ」「待っててね」といった発話の有無に注目していました。東谷さんは、動作を伴うことばは覚えやすいので、子どもが言えないときは周りの大人が寄り添って一緒に言いながら、耳から覚えてもらいたいとおっしゃっていました。
取材を終えて...
今回の取材で印象的だったのは、「指導する」というよりも、継続的にかかわることで子どものできるようになったことに気づくようにしている、というお話でした。
ボランティアさんを含めスタッフのみなさんは、毎回活動終了後、約1時間かけて子ども一人ひとりの様子や保護者から聞いた話を共有する振り返りを行っています。見学させていただいた日も、模造紙に何を描いていたか、色の塗り方、線や文字の書き方、走り方、受け答えの表現などについて、子どもの発達段階を踏まえつつ、話し合っていました。
「この地域に根を張っていきたい」と話す東谷さん。子どもや保護者と顔馴染みとなってきたことから、継続的な視点で子どもへの理解を深め、見通しを持って包括的な支援をしていきたいと抱負を語ってくださいました。
子どもたちが自由に声を出しのびのびと体を動かせる場所、保護者が子どもの様子を見守りながら談笑できる場所...。HATI JAPANが生み出す場所は、いつでもだれにでも温かい「居場所」になっていくことでしょう。
HATI JAPANの活動に興味がある方は、ぜひ団体のHPをご覧ください。
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次回の地域日本語教室活動レポートもお楽しみに♪
by. aaa