ニュースレターれすぱす

2022年6月号

L'ESPACE(れすぱす)は、場所・空間・宇宙・間隔と、多岐にわたる意味をそなえたフランス語です。

クローズアップ

外国人支援・国際交流・多文化共生に関わる団体や人を取材し、活動や取り組みを紹介しています。

府中市多文化共生センターDIVE

~ 外国人住民へのサポートと国際理解の推進に努める ~

府中市多文化共生センターDIVE
多文化共生センターDIVEのスタッフのみなさん。左からコーディネーターの関谷昴さん、マネージャーの櫻井恵太さん、スタッフの福島京香さん。みなさん海外経験が豊富です。

府中市市民活動センター プラッツ内に設置されている「府中市多文化共生センターDIVE」は、市民と外国にルーツのある方が双方向で交流できる場として作られました。2022年4月に「府中国際交流サロンDIVE」から現在の名称に変更、外国人住民のサポートに力を入れるなど、府中市の多文化共生を推進していく施設として、今まさに活動の幅を広げていこうとしています。

いつでも相談できる場所が駅前にある

府中市多文化共生センターDIVE
東京外国語大学の学生時代に世界一周をし、44か国を旅したという関谷さん。「好きな国はインドで、世界で一番おいしいと思った食べ物はメキシコのタコスです」

府中市多文化共生センターDIVE(以下DIVE)は、府中駅に隣接するビルの5階、府中市市民活動センター プラッツの中にあります。DIVEは、Diversity(多様性)とDIVE(その中に飛び込む)からつけられたセンターの愛称です。

現在、DIVEの主な取り組みは、大きく分けて3つあります。

  1. 外国人住民への情報提供
  2. 外国人住民生活相談窓口の運営
  3. 多文化にふれる機会の提供

コーディネーターの関谷昴さんは「府中市には約5,000人(2022年4月現在)の外国人が暮らしています。今後ますます外国人住民が増えていくことが見込まれるなかで、生活の困りごとの相談や支援などがいつでもできる場にしたいと思っています」と話します。外国人住民にとって、いつでも相談できる場があることは安心感につながります。しかも、駅前ならば、新しい住人でも簡単にたどり着けるという大きなメリットがあります。

公式LINEに登録することで情報を手軽に入手できる

府中市多文化共生センターDIVE
コロナワクチン接種の予約をサポートする相談会も実施しました。

DIVEでは、LINE公式アカウントを通じて外国人住民への情報提供を行っています。LINEアカウントの運用を始めたきっかけは、コロナのワクチン接種がスタートしたことでした。「日本語の情報しかないことに問題意識を持ちました。ワクチンを打ちたいと思った外国人住民のみなさんがスムーズに接種できるようにしたいと考え、昨年7月にLINEを活用した情報発信と相談の受け付けを始めました。現在の登録者数は200人ほど。情報を求めている外国人が多いと実感しています」と関谷さん。そのほかSNSやホームページでも、在住外国人向けの情報はもちろんのこと、DIVEが主催するイベント情報や活動情報もリアルタイムで発信しています。

外国人住民生活相談窓口のニーズは多い

府中市多文化共生センターDIVE
「幼少期に父の仕事の関係でウルグアイに住んでいました」という櫻井さん。その経験から東京外国語大学ではスペイン語を専攻。「多文化共生にはずっと興味があり、今の仕事はやりがいがあります」と話します。

外国人住民生活相談窓口は4月にスタートしたばかりです。「窓口としてはこれから育てていく段階ですが、外国人住民の方がしばしば訪ねていらっしゃいます。都営住宅に入りたいがどうしたらいいか、奥さんの仕事が見つからず困っているなど、相談の内容はさまざまです」。そう教えてくれたのは、マネージャーの櫻井恵太さんです。ときには日本語をまったく話すことのできない人も訪れるそうです。「先日は、ワクチン接種の予約がしたいという外国人の方とGoogle翻訳を使ってやりとりをしました。どうにか予約をすることができて、その方が『すごく助かった』という言葉を日本語に翻訳して見せてくれました」と、櫻井さんは楽しそうに話します。

DIVEのスタッフはアルバイトも含めて7名いて、みなさんいずれかの外国語ができるそうです。現在は英語、スペイン語、イタリア語、中国語、韓国語、タイ語の6か国語に対応しています。

さまざまな形で多文化に触れる機会を提供する

府中市多文化共生センターDIVE
満員御礼だった「世界をのぞこう インド編」。いつもはさまざまな国の文化について紹介しますが、インド編はワークを中心とし、「自分」がどのように世界を見ているのかを体験する機会となったそうです。

多文化共生社会の実現には、市民一人ひとりの異文化への理解が不可欠です。DIVEでは日本人の市民を対象に、異文化に触れる機会をさまざまな形で提供していて、「語学カフェ」はそのひとつです。府中市に暮らす英語話者と英語で会話を楽しむ「英会話カフェ」と、東京外国語大学の留学生と楽しく韓国語を学ぶ「韓国語カフェ」があります。「最近は韓国語カフェが人気です。韓国ドラマやK-POPの影響なのでしょう。参加者は女性の方がほとんどです。みなさん韓国語を楽しそうに話されています」

「異なる文化背景を持つ人たちが、同じ市民として近くに住んでいるということを知ってもらうこと。それが多文化共生の根幹として必要なことだと思っています」と語る関谷さん。留学生や世界各地に滞在した経験のある人たちがその国の文化を紹介する「世界をのぞこう」というイベントも人気が高いそうです。

「日本人住民と外国人住民がもっと交わる機会を作りたい」と話すのは櫻井さん。「世界の料理を学ぼう」というような、外国人住民に料理を教えてもらう企画も進めたいそうです。

外国人住民を支える仕組みをしっかり固めていきたい

府中市多文化共生センターDIVE
多文化共生センターのリーフレットとイベントのチラシ。相談会の広報チラシは多言語で用意しています。

今後の目標について、関谷さんに聞きました。「情報の内容や発信方法の整備をし、できるだけ多くの外国人住民のみなさんへ確実に届けられるようになりたいです。また、相談窓口としてきちんと機能するためには、相談のつなぎ先を増やしていくことと、つなげる先の人たちとの関係をしっかりと構築することが重要だと考えています」

折しも府中市では、ウクライナ避難民の支援を行うことになり、DIVEが相談窓口の役割を担うことになりました。府中市に避難してきた方からの相談にあたる準備を進めています。そのため、櫻井さんをはじめ日本人スタッフは、府中市内にある東京外国語大学のオンライン講座を受けるなど、ウクライナ語や文化を学び始めたそうです。言葉や文化を超えてあたたかな関係を築きたい、そんなDIVEの姿勢が府中市の多文化共生の気運をますます高めていきます。

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