ニュースレターれすぱす

2022年2月号

L'ESPACE(れすぱす)は、場所・空間・宇宙・間隔と、多岐にわたる意味をそなえたフランス語です。

クローズアップ

外国人支援・国際交流・多文化共生に関わる団体や人を取材し、活動や取り組みを紹介しています。

小金井国際支援協会(KISSA)

~ 在住外国人、一人ひとりのニーズに沿ってサポートする ~

小金井国際支援協会(KISSA)
小金井国際支援協会(KISSA)の代表である後藤宗弘さん(左)と立ち上げからのメンバーの佐久間久美子さん。

小金井国際支援協会(以下KISSA)は、2019年に活動をスタートさせたボランティア団体です。市のボランティアセンターが主催した、外国ルーツの方々の支援をテーマとする講座を受講した人たちから、有志が集まり設立しました。「小金井市民による地域在住者を対象とした国際支援を行う団体」としてさまざまな活動を行っています。代表の後藤さんとメンバーの佐久間さんにお話を伺いました。

KISSAは小金井市に初めてできた国際支援団体

小金井国際支援協会(KISSA)
ホームページは後藤さんとデザインの得意な会員の手づくりで、団体の趣旨がトップページに明記されています。

東京の西側に位置する小金井市には、周辺の武蔵野市、小平市、国分寺市、三鷹市などと異なり「国際交流協会」がありません。そのため、外国人支援や国際交流に関心を持つ小金井市の住民は、他の自治体の国際交流協会で、その市の市民のためのボランティア活動を行っていました。KISSAの代表である後藤宗弘さんもそのひとりで、武蔵野市国際交流協会の語学ボランティアとして活動していたそうです。
2019年のはじめ、小金井ボランティア・市民活動センターの主催で、「~外国につながる方のために~ 地域の居場所づくり講座」が開催されました。この講座に参加した後藤さんは他の受講生たちにボランティア団体をつくろうと呼びかけます。「他市の国際交流協会でボランティアをしながら、なぜ小金井市で活動できないのか?という思いが常にありました。そして、国際交流協会のような役割を担う団体が必要だと考えていたのは、私だけではありませんでした」。
こうして2019年4月、居場所づくり講座の受講生有志により、地域に住む外国人のサポートを行う団体として小金井国際支援協会(KISSA)が発足しました。国際交流ではなく国際支援ということばを名称に用いたのは、まずは交流するよりも、外国人住民が必要とする支援を提供することから始めようと考えたからだそうです。

小中学校生の学習支援からスタート

小金井国際支援協会(KISSA)
小金井市出身の後藤さん。ボランティア活動を初めて経験したのは大学生のとき。フィリピンに井戸を掘りに行ったそうです。

KISSAとして最初にしたことは、外国人住民に関わるニーズの調査です。「市内在住の外国人やスクールソーシャルワーカー、市役所、小学校の先生方から直接ニーズの聞き取りをしました。その結果、小中学生の教育支援のニーズが高いと判断して、まずはそこから始めることにしました」。
武蔵野市国際交流協会でボランティアの通訳をしていた後藤さん。担当した案件のほとんどが児童相談所関係のものだったことから、外国ルーツの子どもが非行や家庭内暴力に走るのには、日本語や学習につまづきの原因があることが多く、そのサポートをしっかりしないといけないという認識を元々持っていたそうです。
そこで開催したのが「夏休み宿題サポート会」です。東京学芸大学の先生と学生さんの支援の下、3日連続で子どもたちの宿題を手伝いました。この会は夏の定番の活動となり、3回目となる去年も2日間開催したそうです。「作文や感想文に苦労する子が多いですね。自由研究のような、調べて書くものもかなり難しいようです」。

KISSAの強みは、しっかりしたコーディネーターがいること

小金井国際支援協会(KISSA)
夏休み宿題サポート会の様子。児童ひとりに対して、サポーターが1名つきます。

ひとつの団体を立ち上げるときには、どうしても核になる人が必要です。「KISSAの場合は後藤さんです。活動の準備や会員間の連絡など、さまざまなことを一手に引き受けてくれているので、ありがたいです」と話すのは、日本語教師で立ち上げメンバーでもある佐久間久美子さん。すると、「自分は教育者ではないのでコーディネートしかできないんです」と、後藤さんが答えます。
後藤さんは事務的なことだけでなく、問合せ窓口や広報担当の役割も担っていて、ホームページの更新やチラシ作り、さらにそれを置いてくれる場所探しから配布までもこなします。今何が必要で、どうしたら解決できるのか。後藤さんの視野は広く、抜群の行動力があります。KISSAは決まった活動場所をもっておらず、市の施設を借りるために毎回抽選に申し込まなければなりません。そうしたことの一つ一つを後藤さんは率先して行っています。「KISSAという組織ができて、困りごとを抱えた外国人がいたときに呼びかける会員たちがいるのは心強いです。教えることについては、佐久間さんのようなプロフェッショナルな方が何人もいます。それ以外は全部自分に任せてもらって大丈夫です」と、後藤さんは楽しそうに話します。

地域で日本語を教えていると、ご近所としての情が入る

小金井国際支援協会(KISSA)
ウズベキスタンとロシアで暮らしたことがある佐久間さん。海外在住歴は約10年。今もロシア料理を作るといいます。「昨日はペリメニ(ロシアの餃子)を作りました。おいしいですよ」。

KISSAは子どもたちから、今は成人にまで、サポ―トの対象を広げています。現在の活動は

  • 日本語が苦手な小学生のための学習支援会(毎月1回)
  • オンラインと対面の日本語教育(成人と小学生対象・毎週1回)
  • 生活およびその他の相談など

佐久間さんは日本語教師の仕事をしながら、KISSAでは小学生の学習支援のほか、成人の方を週に1回対面で教えています。地域で日本語を教えるのには、日本語学校で日本語を教えるのとは異なる魅力があると、佐久間さんはいいます。「地域で教えていると学習者と近所でばったり会うことがあります。お互いに助けたり助けてもらったりする可能性もあります。個人のつながりが生まれてくるぶん、情も入りますね」。
佐久間さんに、これからやりたいことを聞いてみました。「その子ども自体の能力は高いのに、日本語ができないというだけで中学校の学習についていけなくなり、その先の高校では退学してしまう。こうしたことが、これから問題になってくると思います。そうした子供たちを一人でもなくしたいです」

サポートを求める外国人と、ボランティアをする仲間を募集中

小金井国際支援協会(KISSA)
手づくりのチラシをさまざまなところに置いています。これを見て連絡してくる外国人もいるそうです。日本語、中国語、英語で書かれています。

KISSAの団体の趣旨に、「日本在住の外国人を彼らのニーズに沿ってサポートしていきます」とあります。対面で学びたいという外国人がいたら、会員に情報を共有し条件の合う人がいるかの呼びかけをし、手を挙げた人に任せるそうです。「自分が行う活動内容を自分で決め、責任をもって活動を行うのがこの会のルールです」と後藤さん。
そんなKISSAではボランティアを募集中です。「興味のある方は、ぜひ連絡してください。入会金などはありません。会員は80代の方から大学生まで、幅広い年齢の方がいます。船橋や埼玉から来る人もいます。ホームページを見て参加してくれたそうです。英語やベトナム語ができる人がいたらなおいいです」。また、サポートを必要とする外国人にも、ぜひKISSAに連絡して欲しいといいます。
KISSAでは今後、専門家相談会や進学説明会の開催も目指していくそうです。小金井市ではじめての国際支援団体がこれからどのような活動を展開していくのか、とても楽しみです。