2020年12月号


毎月1回ウェブ版ニュースレター「れすぱす」を配信しています。L'ESPACE(れすぱす)は、場所・空間・宇宙・間隔と、多岐にわたる意味をそなえたフランス語です。

ルビ入りクローズアップ バックナンバー

NPO法人KIVこども国際村

~ 日本の子どもたちに、もっと気軽に外国人とのコミュニケーションを楽しむ場を ~

今月のクローズアップは、NPO法人KIVこども国際村をご紹介します。KIVは、東京・代々木公園など関東4県の公園で、日本の子どもたちと外国人が交流する青空国際交流×英会話イベント「こども英語村」を開催している団体です。学校や一般の英語教室とは異なる第3の場として、どんな家庭の子どもでも、おこづかい程度の料金で気軽に国際交流や英会話を体験できる場を提供しています。2020年5月には市民ボランティア団体からNPO法人へと移行、オンラインこども英会話プログラムなど、新たな取組みもスタートさせています。「世界中の人たちとの交流を通して、子どもたちが自分の人生の価値を見つけていく手伝いをしたい」と語る代表の有賀春暢さんに、KIVの活動について詳しくうかがいました。

NPO法人KIVこども国際村
代表 有賀春暢氏

団体設立の経緯をお聞かせください。

NPO法人 KIVこども国際村
小さな頃から外国人とふれあってほしい、
こども英語村はそんな願いから始まりました。
NPO法人 KIVこども国際村

有賀さん

2015年、語学留学したフィリピンのセブ島で、子どもたちに音楽教育を提供している日本のNPO団体に出会い、スタッフとして活動するようになったのがすべての始まりです。そこで子どもたちの笑顔に心を奪われ、たくさんの幸せをもらったことで、いつか自分も子どもたちのために何かしたいと考えるようになりました。その後、1年ほど様々な国を放浪する中で、やはり世界の共通言語は英語であること、多くの国の人が発音や文法にこだわらず思い思いに英語でコミュニケーションをとっていることに気づかされました。一方、世界各地で出会った日本人の中には、海外の人たちのコミュニケーションの輪に入れない、あるいは入ろうとしない人が少なからずいました。そして、こうした日本人の姿を目の当たりにしたことで、子どもたちが幼少期から海外の人と慣れ親しむことができるような環境づくりをしたいと思うようになったのです。日本に帰国してすぐ準備を進め、2017年11月に市民ボランティア団体を設立、2018年2月に東京の代々木公園で、青空英会話イベント「こども英語村」を初開催しました。その後、2020年5月にNPO法人の認可を受け、現在に至ります。

「こども英語村」について詳しく教えてください。

有賀さん

「こども英語村」はKIVのメインの活動で、現在は月2回程度、東京・神奈川・千葉・埼玉の公園で開催しています。参加費は一回1500円です。子どもたちと一緒に歌やダンス、ゲーム、フリートーク、High five(ハイタッチ)などを楽しむのは、International Friends(IF)と呼ばれる外国人ボランティアたちで、英語村では目と目を合わせてコミュニケーションすることを大切にしています。参加する子どもたちの中には英語が大好きという子もいれば、簡単なあいさつができる程度だったり、まったく英語は知らないけれど国際交流が好きな子も多く、イベントの最中はどの子も本当に楽しそうです。IFとつないだ手をずっと離さない子やイベント終了後に何度も繰り返し「See you!」と言いに戻って来る子もいます。また、毎回かならずゲームの中に英語のフレーズを組み込むのですが、家に帰ったあと、「Turn on! Turn off!」と覚えたフレーズを口にしながら電気をつけたり消したりしている、というような話を親御さんからよくうかがいます。

NPO法人 KIVこども国際村
青空のもと、緑あふれる公園で、
約2時間半のイベントを楽しみます。
NPO法人 KIVこども国際村

International Friends(IF)として参加する外国人についてお聞かせください。

NPO法人 KIVこども国際村
IFとして参加を希望する外国人が多く、
募集をストップしなければならないことも。
NPO法人 KIVこども国際村

有賀さん

フェイスブックやインスタグラムでの呼びかけに応じて参加してくれるのは、日本の企業で働いている人、日本語学校に通っている学生など色々ですね。日本に暮らしながらも日本人と話す機会がほとんどない、ましてや日本人の子どもとふれあう機会はまったくないということで、英語村の活動に興味を持ってくださるようです。アメリカ、イギリス、フランス、フィリピンといった国の人から、アフガニスタン、イラク、モーリシャスなどなかなか出会えない国の人まで、出身地も様々です。英語のネイティブスピーカーでない人もたくさんいますが、もともと世界共通語としての英語に触れてほしいと思って始めた活動なので大歓迎です。また、コロナ禍以前にはAirbnbのシステムを利用して、ツーリストの受入れも行っていました。日本滞在時のローカル文化体験として楽しんでくれる人も多かったので、新型コロナが収束したら、ぜひまた受入れを再開したいと思っています。

新型コロナの影響で、「こども英語村」は一時休止となったそうですね。

有賀さん

「こども英語村」は、ハグやハイタッチなどのふれあいを大切にする密着型のプログラムですから、それらが否定された当初は、今後どう運営すればいいのか悩みました。コロナ禍にあっても世界中の人とつながってほしいという思いは強く、子どもたちのために何かできることはないかと検討した結果、Zoomを利用した新たな試みを行いました。ひとつは、世界各地に住む外国人と家にいながら交流できる「オンラインこども英語村」、そしてもうひとつは、世界各地に住む子どもたちと英語を使って話をする「キッズ国際交流ミーディング」というプログラムです。これらの試みによって、世界の様々な場所に暮らす人たちと日本の子どもたちがふれあう機会が生まれ、コロナ前には想像もしなかった新しいつながりをつくることができました。そして9月からは、公園で開催する「こども英語村」も再開、定員をコロナ前の35人から20人へと減らし、屋外ならではの広いスペースを生かしながら、ウィルス対策を万全に行った上でイベントを実施しています。

NPO法人 KIVこども国際村
互いの目を見て、直接ふれあえるのが
こども英語村の醍醐味です。
NPO法人 KIVこども国際村

新たにオンラインこども英会話のプログラムをスタートさせたそうですね。

有賀さん

2020年10月から「海外のお兄さんお姉さんと遊ぼ!」をコンセプトとしたオンライン英会話プログラム【AaasoBo!】を始めました。AaasoBo!の特徴は、英語を学ぶことよりも、英語で楽しむことを目的としたプログラムであること。インストラクターを務めるのは海外の語学学校や日本の大手オンライン英会話の先生など経験のある方ばかりですが、AaasoBo!では、世界各地にいるお兄さんとお姉さんとして子どもたちの相手をしてくれます。非営利型の低料金スタイルで提供しており、無料トライアルも実施中です。まったく英語がわからないお子さまでも0から始められるので気軽にトライしていただきたいです。

今後の活動の展開についてお聞かせください。

NPO法人 KIVこども国際村
外国人ボランティアも子どもたちとの
交流を心から楽しんでいます。
NPO法人 KIVこども国際村

有賀さん

おかげさまで「こども英語村」はチケットが短時間で完売となる状況が続いていて感謝の気持ちでいっぱいですが、チケットがとれず、英語村を体験できない子どもたちがいることに申し訳なさも感じています。すべての都道府県で「こども英語村」を開催できるようになることがKIVの目標のひとつですが、約10名のボランティアスタッフがほかの仕事をしながら運営に携わっている現在の体制ではマンパワー不足が否めません。今後はマンスリーサポーター制度を設けてみなさまからの賛助をいただきながら、継続性のある安定した運営のもとで、少しずつ仕事として、日本の子どもたちが気軽に海外の人たちとふれあえる環境づくりを行っていきたいと考えています。そして来年以降は、放課後に外国人と英語で遊べる「こどもアフタースクール英会話プログラム」や、収入面でハンディのある家庭の子どもたちに向けた無料の英会話・国際交流教室「エンジェル国際交流プログラム」なども提供していく予定です。すべての子どもたちがいつでも気軽に海外の人と会って話せる環境を享受できる、KIVはそんな社会づくりを目指して今後も活動を行っていく所存です。