心のこもったチリの家庭料理店「カーサ・デ・エドゥアルド」

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東京メトロ丸ノ内線「新中野駅」から徒歩数分の場所にある「カーサ・デ・エドゥアルド」は、東京で唯一のチリ料理店です(2020年6月現在)。オーナーシェフのエドゥアルド・フェラーダさんは、チリの首都サンティアゴ出身。スペイン語で「エドゥアルドさんの家」という名を持つこの店は、その名の通り、訪れた人をアットホームな気分にさせてくれます。「ここがレストランだという自覚はないんです。自宅にお客さんを招いているような感覚なんですよね。」とエドゥアルドさんは話します。

小さな商店が並ぶ狭い通りに隠れているこの店は、こじんまりした居心地のよいレストランです。一方、オーナーのエドゥアルドさんは、おおらかで大きなハートの持ち主。お店の外にある生き生きとしたキャラクターが描かれた看板を指さして、「これは数年前の私だよ!」と笑顔で教えてくれました。そして店先にあるバーベキューグリルで肉を焼きながら、東京で店を開き、経営するに至った経緯を話してくれました。

2.jpgエドゥアルドさんは、お客さんにチリ人の家に遊びに来たような雰囲気を味わってもらいたいと願っています。

エドゥアルドさんは、もともと技術翻訳者兼システムエンジニアとして1983年に来日しました。今も機会があれば翻訳の仕事をしていますが、最近はレストランの仕事が生活のほとんどを占めるようになっています。

2011年の東日本大震災のあと、エドゥアルドさんはボランティアとして東北で過ごしました。被災して家を失った人たちにチリ料理をふるまったのです。このとき料理を提供する喜びを覚えたエドゥアルドさんは、友人たちに背中を押され、2012年に自分の店をオープンするに至ったのです。はじめは赤坂に店を構えましたが、2013年に現在の場所へ移転しました。

日本に住むチリ人はそれほど多くないことに触れながらも、エドゥアルドさんは、東京の外食産業界において自分がチリの国を代表していることに誇りを感じていると、話してくれました。

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主な客層は日本人と日本で暮らす外国人です。そしてレストランは東京に住むチリ人が集まる場所にもなっており、チリの独立記念日(9月18日)など、特別な日にはお祝いもします。"チリ料理といればこれ"というものを決めるのは難しいそうですが、エドゥアルドさんは、子ども時代を想い起こし、おばあさんの手料理から着想を得て、メニューを作っているそうです。

4.jpgエドゥアルドさんは外に出てお客さんの前で料理をすることが大好き。

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カーサ・デ・エドゥアルドのメニューは多岐に渡ります。中でもエドウアルドさんが調理するのを楽しみにしているのは、バーベキュー料理。焼きながらお客さんと交流ができるからです。彼のローストチキンは変わらず人気で、テイクアウトやUber Eatsでの配達も利用できます。実際この取材中も、二人の地元の方がランチの「ローストチキン弁当」を取りに来ていました。

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7.jpg看板メニューのローストチキンは、テイクアウトもデリバリーもできます。

もう一つの人気メニューは「エンパナーダ」。肉のパイ包みのような料理です。魚介類が好きな方にはさまざまなスタイルの魚料理を用意してくれます。ベジタリアンの方は季節の野菜を使った食事が頂けますよ。

取材中にもエドゥアルドさんの友人が何人かやって来たので、私たちはテラス席に座ってみんなでランチを頂くことにしました。すぐに日本語と英語、スペイン語を交えた会話が始まり、盛り上がっているうちに、エドゥアルドさんがバーベキュー料理とシンプルなサラダ、色鮮やかな野菜パスタを用意してくれました。さらに食事に合ういくつかの美味しいチリ産の白ワインも勧めてくれましたよ。

8.jpgエドゥアルドさんのカラフルなベジタリアンパスタとチリ産の白ワイン。

エドゥアルドさんは、手に入った食材によってメニューとレシピを調整しています。予約なしで訪れてもいつでも歓迎してもらえますが、特別に希望する料理があれば、事前に連絡を入れるとよいでしょう。「小さなレストランですが、できるだけ新鮮な食材を使いたいと思っています。もし事前に来店の連絡をもらえれば、お客さんのリクエストに応じた料理を出すために、食材を仕入れに行きますよ。」とエドゥアルドさんは話します。

「カーサ・デ・エドゥアルド」は賑やかな新宿駅から地下鉄で10分足らずの場所にありますが、レストラン周辺の雰囲気は、新宿とはまったく異なります。エドゥアルドさんはこの地域ののんびりとした雰囲気が好きで、地元で開かれるイベントにも好んで参加しているのだとか。また、地元の事業者のためのオンラインコミュニティにも積極的に参加しているそうのだそう。「ここで店を開く前に、仲間から、"ここで事業を始めたお店は皆、2年くらいしかもたなかった"と聞きました。でも自分はその時、よし、ここにお店を開こう!と決めたのです。」と話してくれました。

9.jpgふらりと立ち寄ってもよし、いくつかの料理をテイクアウトしてもよし。カーサ・デ・エドゥワルドは皆さんのご来店をお待ちしています。

店を新中野に移転して7周年を迎えた今、エドゥアルドさんはすっかりこの地域に溶け込んでいます。「私はこの地域が好きです。この通りにあるお店はひとつひとつ違いますが、みんな気さくで、お互いに支え合っているんです。」そう語った直後、エドゥアルドさんは通りの向こうにいた地元の経営者仲間に大きな声であいさつしていました。

レストランを一人で切り盛りしているエドゥアルドさん。「私は経営者であり、シェフであり、清掃員でもあります。全てを自分でこなします。仕事量は多いですが、その代わり融通が利きますからね。」と話してくれました。レストランは毎日営業しているので、いつでもお客さんのために料理を作るエドゥアルドさんの姿が見らるでしょう。エドゥアルドさんは、「ね、本当に私の家みたいでしょう。」と笑うのでした。

アクセス方法や営業時間、連絡先などは、「カーサ・デ・エドゥアルド」のフェイスブックページをご覧ください。

https://www.facebook.com/edojapon1/timeline?ref=page_internal

この記事は、橘高ルイーズ・ジョージが執筆しました。


*この記事は、2020年06月09日に東京都国際交流委員会が運営していたLife in Tokyoに掲載したものです。